体外受精の治療時の痛みに
ついて|軽減するための取り組み

体外受精や顕微授精では、採血、筋肉注射、皮下注射、超音波検査、
子宮腔長測定(ゾンデ診)、採卵時の膣洗浄、麻酔注入、局所麻酔下の採卵、採卵後の腹腔内出血、
卵巣過剰刺激症候群、卵巣捻転、骨盤腹膜炎、チョコレート嚢腫の破裂、
胚移植時など色々な場面や原因で痛みが発生することがあります。
また、妊娠には、正常妊娠、流産、異所性妊娠などがありますが、
流産や異所性妊娠では、痛みが起きることがあり、手術が必要となる場合もあります。
痛みが重要なサインである時もあるので、強い持続的な痛みがある時はクリニックに連絡をしてください。
  1. 目次

  2. 体外受精の治療時の痛み

  3. 不妊治療時の痛みを軽減するための取り組み

  4. 「納得して体外受精に望もう」

体外受精の治療時の痛み

ホルモン採血、経膣超音波検査、排卵誘発剤などの注射、採卵、胚移植などのときに痛みがおこることがあります。

ホルモン採血の痛み

体外受精の採卵周期に入ると、卵胞(卵子が入っている袋)の成長を調べるために、ホルモン採血を数回行います。
採血の時に痛みを感じたり、採血後に痛みが残ることもあります。
採血後は5分ぐらいよく圧迫止血をしてください。

経腟超音波検査の痛み

体外受精の採卵周期に入ると、卵胞(卵子が入っている袋)の成長を調べるために、経腟超音波検査を数回行います。
子宮内膜症がある時や卵巣が見づらい位置にある時には、超音波検査の時に痛みを感じることがあります。

排卵誘発剤などの注射の痛み

排卵誘発剤の注射の種類によって筋肉注射と皮下注射があります。
皮下注射では筋肉注射と比較して、細い針で注射を行うため、痛みが少なくなります。
また、注射薬をゆっくりと注入すると痛みが軽減されます。
排卵誘発剤の注射の副作用として、頭痛が出ることもあります。
痛み止めのお薬を飲んでも大丈夫ですが、強い頭痛の時はかならず医師に相談してください。

卵巣過剰刺激症候群による痛み

卵巣刺激法で高刺激法を選択した場合には、排卵誘発剤の注射の影響で、卵巣が過剰に反応して腫れることがあります。
このことを、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と言います。
OHSSが発症すると、採卵前や採卵後に下腹部に違和感や強い痛みを感じることがあります。

膣の洗浄時の痛み

採卵前に、外陰部と膣内を、綿棒を使用して、温かい生理食塩水を流して十分に洗浄しますが、少し痛みを伴うことがあります。
局所麻酔では、膣の洗浄は局所麻酔を行う前に実施しますが、静脈麻酔では麻酔を行った後に、膣の洗浄を実施します。
当院(木場公園クリニック)では、万が一消毒薬が膣内に残った場合に、採卵時に消毒薬が卵子に触れる危険性があるため消毒薬は使用していません。

採卵時の痛み

当院では、局所麻酔または静脈麻酔を行っていますが、施設によっては無麻酔で採卵を実施している場合もあります。
無麻酔で採卵を行っている施設では、採卵前に座薬などの痛み止めを服用して痛みを抑えている場合があります。
局所麻酔で採卵を行って痛みが強い時には、採卵の途中で静脈麻酔に変更する時もあります。
また、静脈麻酔にはソセゴン1/2Aを点滴のラインを通して静脈に注入した後、ディプリバンを使用しています。
ソセゴンを注入すると点滴が入っている静脈のところが痛くなることがあります。

胚移植時の痛み

胚移植では、原則的に痛みは少ししか感じないと思います。
子宮の頚管がすごく曲がっていて、胚移植用のカテーテルが挿入しづらい場合は痛みを感じる時もあります。
原則的に、当院では胚移植時には痛み止めの座薬は使用していません。

治療後の痛み

非常に稀ですが、採卵針を刺した卵巣の表面からの出血が止まらず、腹腔内に出血が溜まって痛みがすることがあります。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発症すると、採卵後に下腹部に違和感や強い痛みを感じることがあります。
また、卵巣が腫れていると卵巣がねじれることがあります。
このことを卵巣の茎捻転と言います。
卵巣の茎捻転が起きると、間欠的に強い痛みがおこります。
チョコレート嚢腫がある方では、チョコレート嚢腫が破れると、痛みが発生することがあります。
また、採卵の影響で感染がおきると骨盤内感染症となって痛みや発熱が起こることもあります。
採卵周期に新鮮胚移植を実施しないで全胚凍結した時や新鮮胚移植を実施しても移植した胚が子宮内膜に着床しないで妊娠が成立しなかったときは、採卵後に月経が発来しますが、通常より生理痛が強いときもあります。
妊娠が成立した場合は、初期症状による痛みを感じる場合もあります。
受精卵である胚が着床する際に、子宮内膜に入り込んでいく過程の中で出血する場合もあります。
これを着床出血と言いますが、異常ではありませんが、お腹がチクチクする生理痛に似た痛みが生じる時もあります。
妊娠の転帰には、正常妊娠、流産、異所性妊娠などがあります。
異所性妊娠とは、受精卵(胚)が子宮腔以外の別の場所で着床してしまうことです。
異所性妊娠には、卵管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠、頚部妊娠があります。 卵巣刺激法の種類

流産や異所性妊娠では、痛みが起きることがあり、手術が必要となる場合もあります。

不妊治療時の痛みを軽減するための取り組み

体外受精や顕微授精の採卵時や胚移植時の痛みを出来る限り軽減させるために、先端の細い採卵針や柔らかい胚移植用のカテーテルを使用します。

採卵時に細い採卵針を使用する

細い採卵針を使用した方が、採卵時の膣壁や卵巣からの出血が少なくなるため、採卵時や採卵後の痛みが少なくなります。
しかし、すごく細い採卵針を使用して、吸引圧を高くすると卵子にダメージを与える可能性が高くなります。
当院では、先が細く根元が太い北里コーポレーション製の採卵針を使用しています。
この採卵針を使用すると膣壁や卵巣を穿刺する部分は細いため膣壁や卵巣の組織へのダメージが少なくなります。
また、採卵針の根元の部分は太いため、低い吸引圧でスピーディーに卵子を採取することができます。
採卵で大切なことは、卵子にダメージを与えないように、また卵子の温度が低下しないようにテキパキと採卵することです。

採卵後は安静室で休む

採卵後は、クリニックの15個ある安静室で休むことができます。
局所麻酔の場合は1時間、静脈麻酔の場合は2時間程度休みます。

子宮に負担の少ない胚移植用のカテーテルを使用する

胚移植を成功させるために、柔らかい胚移植用のカテーテルを使用して、平滑筋でできている子宮の筋肉を収縮させないように胚移植は実施しなければなりません。
患者様によって子宮の頸管は、曲りや長さが違います。
あらかじめどの胚移植用のカテーテルを使用するかを試しておくことをゾンデ診と呼びます。
ゾンデ診では、カテーテルの種類、動かす方向、子宮の長さがを記録しておきます。
胚移植時に子宮に与える負担をできる限り減らすために、胚移植時にも同様のカテーテルを使用します。
また、胚移植用のカテーテルを挿入する時には、経腹超音波下にカテーテルの先を見ながら、カテーテルを子宮腔内に進めます。
経腹超音波検査用のプローブとクスコで子宮の傾きを調整しながら、慎重にカテーテルを挿入します。
胚移植にも北里コーポレーション製のカテーテルを使用しています。

「納得して体外受精に望もう」

体外受精の治療時の痛みと当院における痛みを軽減するための取り組みについてこのコラムでは説明しました。
痛みを恐れすぎないで、どのタイミングでどのような痛みが発生する可能性があるかを、よく理解して、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)を受けましょう。
私でも、他院で上部消化管内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査などを受けるときは、どのような手順で検査が実施されるのか、またどのような場面で痛みが発生するかが分かっていないと非常に不安です。
不安で眠りが浅くなったり、他院を受診したくないと思うこともあります。
不安は、痛みを増強させます。
医師、看護師、IVFコーディネーター、ホルモンコーディネーターから体外受精や顕微授精の説明を受けて、できる限り不安を取り除いで自分自身でよく納得して治療に臨んでください。

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