卵巣刺激について

卵巣刺激法とは

卵巣刺激法とは、排卵誘発剤の注射(FSH, hMG)または内服薬を使用し、排卵を誘発する治療法のことで、妊娠率を高める上で重要です。
妊娠の確率を少しでも上げるために、複数の卵胞を発育させ、成熟する卵子の数を増やし採卵するために卵巣刺激は行います。
女性の体では、自然では毎月1個の卵子が排卵されていますが、その卵子を採卵したとしても必ず受精し、良好な胚になるとは限りません。
卵巣刺激法には、高刺激法、中刺激法、低刺激法、自然周期法があります。
卵巣の機能がいい場合は、どの方法でも選択できますが、卵巣の機能が悪い場合は、低刺激法または自然周期法しか選択できません。
選択した卵巣刺激法で良好な胚ができない場合には、常に別の卵巣刺激法に変更することを考えておく必要があります。
不妊治療専門施設として重要なことは、いろいろな卵巣刺激法の選択肢を持っていることのため、いろいろな選択肢のある施設で不妊治療を行ったほうが良いと思います。

卵巣刺激法の主な種類

採卵するための卵巣刺激法には、高刺激法(ウルトラロング法、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法)、中刺激法(高刺激法と低刺激法の中間の卵巣刺激法)、低刺激法(排卵誘発剤の飲み薬と少量の注射を使用)、自然周期法(注射も内服も排卵誘発剤の薬を使わない)があります。
女性の年齢のみでなく、AMH(抗ミューラー管ホルモン)値や月経時に見える卵巣内の胞状卵胞数などの卵巣力をもとに、どの卵巣刺激法にするかを決定します。

ロング法

体外受精の前周期の3日目から、中容量ピルであるプラノバールを14~28錠使用します。ピル終了日の2日前から、GnRH アゴニストの点鼻薬を採卵日の2日前まで使用します。
GnRH アゴニストは卵巣刺激中に、黄体形成ホルモンが急激に上昇して、採卵前に排卵がおこるのを抑制するために使用します。
ピル終了後8日目に、ホルモン検査と超音波検査を行って、LH値と胞状卵胞数をもとに排卵誘発剤の注射の種類と量を決定して注射を開始します。
卵巣刺激の途中から、hMGを追加して18mm以上の卵胞が2個以上あれば、rhCG(オビドレル)でトリガーをかけて、約35時間後に採卵を実施します。
トリガーのタイミングはトップ2個の卵胞径のみで決めるのではなく、卵胞数とE2値も考慮して決定します。

ショート法

ロング法よりGnRH アゴニストを使用する期間が短いため、ショート法と言います。
GnRHアゴニストを採卵周期の月経1日目から採卵日の2日前まで使用して、月経3日目から排卵誘発剤の注射を使用する方法です。
GnRHアゴニストの初期のフレアーアップ効果によって一時的にFSHとLHが上昇することにより卵巣を刺激、数日後にはGnRHアゴニストによる下垂体へのダウンレギュレーションにより排卵を抑える作用を利用します。
当院ではショート法でも、卵巣機能が低下していない場合は、卵巣刺激前周期の月経3日目から中容量ピルのプラノバールを7~14錠使用しています。
一般的にはショート法ではロング法より少し早めに採卵をした方がいいとされています。

アンタゴニスト法

アンタゴニスト法は、短時間で強い効きめのGnRH アンタゴニストで排卵を抑制しながら、卵巣刺激を行なう方法です。
採卵前周期の月経3日目からプラノバールを7から21日間使用、プラノバールの期間は卵巣力をもとに決定します。
プラノバール終了後4日目から卵巣刺激を開始します。
排卵誘発剤の量は胞状卵胞数と過去の卵巣刺激のデータをもとに決定します。
原則的には主席卵胞の平均径が14mmになったらGnRH アンタゴニストを開始します。
GnRHアンタゴニストは卵巣刺激にとっては強いブレーキとなるため、ブレーキが効きすぎないようにするために、低用量hCGを50単位または100単位を併用します。
GnRH アンタゴニストは夕方5時頃に使用しているため、トリガー日にはGnRH アンタゴニストは原則的には使用しません。
また、トリガー日にも排卵誘発剤の注射は原則的に前日と同量使用します。
GnRH アゴニストとrhCGを併用したトリガーで卵子を最終成熟させて、排卵が起きる直前に採卵します。

卵巣予備能力を評価した適切な卵巣刺激

卵巣刺激とは、hMG(排卵誘発剤、おもに注射)を使い、よりよい卵を多く育てるための一連の流れのことです。
通常、毎月何個かの卵のうち1個が選ばれ、大きくなり排卵が起こるのですが、成熟する卵の数を増やして採卵(=卵を体の外に取り出す)するために排卵誘発剤を使います。
「薬を使わなくても排卵しているのに、どうして排卵誘発剤を使うの?卵は1個ではダメなの?」と思うかたもいると思います。
採卵は、麻酔をかけて針を刺して行なう、手術の一種です。取り出した1個の卵が必ず受精するとは限りませんし、受精しても胚移植できる状態まで分割していくかも分かりません。胚移植できなければ再び採卵からということになります。
「この方の胚のなかで一番良いもの」を選ぶためにもいくつかの卵があればベストです。胚の凍結保存技術も発達していますので、良好な余剰胚があれば凍結保存しておき必要時に融解して胚移植することもできます(いい胚がない時は凍結できない場合もあります)ので、再び採卵からという体の負担が少なくなることを考えても、一度の採卵でいくつかの卵を取り出せるほうが良いと考えています。
また、排卵誘発剤だけを使用していると、LHサージ(排卵していいですよのサイン)を引き起こして、採卵しようと思ったら排卵してしまっていた・・・なんてことになりかねませんので、採卵目的で排卵誘発剤を使う時は、卵胞発育・排卵に関わるホルモン(FSH・LH)をコントロールする必要があります。
LHサージ(排卵)を抑制するために使用するのが、GnRH agonist製剤のブセレリンやスプレキュアなどの点鼻薬とGnRH agonist製剤のガニレストやセトロタイドの注射薬です。

木場公園クリニックの特徴

木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
少しでも安心して不妊治療を受けていただけるよう、
様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。

海外・国内の学会参加による
世界レベルの最先端の治療を追及

開院以来20年にわたり診療で蓄積された診療経験や検査・治療の結果、症例をもとに、
より良い不妊治療の成果を出すために、日々行っている研究や検討を紹介しています。

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着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。

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胎児精密超音波検査について

胎児精密超音波検査では胎児の形態異常や構造異常の評価、胎盤臍帯の評価を超音波を使って詳細に行います。
これまで胎児の一般的な超音波スクリーニング検査は妊娠20週前後で評価するのがbestと考えられてきましたが、超音波診断装置の技術の向上と診断技術の改良により妊娠の早い段階で胎児の構造を観察することが可能となりました。

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卵巣刺激
(高刺激・中刺激・低刺激・自然周期)

女性の実年齢と卵巣年齢がイコールではないため、それぞれの方の卵巣の状況に応じて刺激法を選んでいます。
当院では高刺激の患者様と低刺激の患者様の割合は半々です。
高刺激と低刺激のどちらがいいのかではなく、体外受精や顕微授精を行う施設として重要なことはいろいろな卵巣刺激法を選択肢として持っていることです。

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