体外受精(IVF)とは | 木場公園クリニック 不妊・不妊治療専門

体外受精(IVF)とは

体外受精(IVF)とは

体外受精とは、1978年にイギリスの産婦人科医であったステプトウ博士と研究者であるエドワード博士によって初めて成功した技術で、その時に妊娠したルイーズちゃんという名前の子供はもう28歳になっています。また、世界中でこの技術を用いて約500万人の赤ちゃんが産まれています。

体外受精の方法

体外受精とは、経腟超音波下に卵巣から採取した卵子を体外で精子と受精させて、2〜6日間体外で培養してできた胚を子宮に戻す不妊治療のことで、IVF (In Vitro Fertilization)とも呼ばれます。
体外受精のように高度に人の手がかかった生殖補助技術のことをART(Assisted Reproductive Technology)と言います。
人工授精とは排卵日に合わせて、精液を採取して、運動性が良好な精子を集めて、子宮に注入する方法です。
不妊治療を受ける人は、それぞれの状況に応じて、タイミング療法、人工授精、体外受精、顕微授精などを医師と相談して選択します。
精液中にある程度運動精子がいる場合には、人工授精と体外受精の妊娠率や費用などを比較して検討する患者様が多く見られます。

体外受精のスケジュールや流れについて

STEP1:事前検査の実施

女性にも男性にも体外受精のスケジュールに入る前に必要な検査を実施します。
女性には、超音波検査、感染症検査、甲状腺機能検査、末梢血検査、血液型及び出血凝固系検査、ホルモン検査などを実施します。
男性には、精液検査、精液培養、クルーガーテスト、SCSA、感染症検査、抗精子抗体検査を行います。
検査詳細について、は不妊検査についてよりご確認ください。

STEP2:卵巣刺激(排卵誘発)

卵巣刺激法には、高刺激法、中刺激法、低刺激法、自然周期法の4種類がありますが、患者さんの卵巣機能に応じた個別の卵巣刺激法の選択することが重要です。
卵巣機能が良好な方はどの卵巣刺激法でも選択できますが、卵巣の機能が悪い方は低刺激法または自然周期法しか選択することができません。
高刺激法には、ウルトラロング法、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法などがあります。
排卵誘発剤を連日多めに使用して、多数の卵胞を発育させることによって、多くの卵子が採取可能となります。

STEP3:採卵・採精

採卵の流れ

採卵は、手術室(採卵・胚移植室)で行います。
ご本人確認、アレルギーの有無などを確認した後に、心電図、血圧、パルスオキシメーター(動脈血酸素飽和度測定)を患者様に装着します。
採卵は、局所麻酔または静脈麻酔で行います。
外陰部と膣内を温めた生理食塩水で洗浄します。
経腟超音波プローブに卵胞穿刺用のガイドを装着して、膣から卵巣内の卵胞に採卵針を刺して、卵子が入っている卵胞液を吸引します。
経腟超音波プローブは採卵前に、7分かけて高水準消毒を行います。
採取後の卵子は付着物を落として、37℃で管理されたインキュベーター(一定の温度に保つための装置で酸素濃度、二酸化炭素濃度、窒素濃度が厳密に管理されている)で受精まで前培養します。

採精の流れ

採精室で精液を採取します。
仕事でクリニックに来院ができない時は、自宅で精液を採取して持参していただきます。
精液を十分に液化させた後、運動性のある良好な精子を回収します。

STEP4:受精

体外受精では、卵子が入っている培養液に、運動精子を添加します。
この操作のことを培精と呼びますが、簡単に精子のふりかけと言うこともあります。
体外受精では精子自身の力で受精をさせます。
ある程度以上の運動精子が回収できないと、体外受精では受精が成立しません。
一方、顕微授精では、ガラス製の針を使用して卵子の中に一匹の精子を注入して、受精をさせます。 重度の男性不妊症の精子でも、卵子に受精をさせることができます。

STEP5:培養

体外受精や顕微授精を行った後、インキュベーター内で2から6日間培養を行います。
胚を培養する培養液には、前期培養用(前核期胚から8細胞期胚まで)と後期培養用(8細胞期胚から胚盤胞まで)の2種類の培養液を使用する逐次培養液(sequential medium)と前核期胚から胚盤胞まで同じ組成の1種類の培養液を使用するsingle mediumがあります。
どの時期まで胚を培養するのか、採卵した周期に胚移植を実施するか一度胚を凍結して別周期に子宮内膜を作成して融解胚移植を実施するか?
このポイントは体外受精や顕微授精の成績を決定する中で重要です。

STEP6:胚移植

子宮腔内に胚を戻すことを胚移植と言います。
胚移植には、採卵した周期の新鮮胚(分割期胚または胚盤胞)を使用する場合と凍結融解した胚(分割期胚または胚盤胞)を使用する場合があります。
多胎妊娠を防ぐために、移植に使用する胚の個数は原則的には1個です。
診察室で患者様に胚の写真を見せて、胚の説明をします。
再度、手術室で患者様に、胚移植に使用する胚をモニターに映して確認していただいた後、胚培養士が胚移植用のカテーテルに胚を吸います。
胚移植用のカテーテルが胚培養士から医師に渡されて、医師は慎重に子宮を収縮させないようにそっと、カテーテルを子宮腔内に進めて、胚を子宮に戻し、妊娠へと導きます。

体外受精の着床、妊娠判定について

体外受精後は黄体機能を維持するために黄体ホルモンであるプロゲステロンを膣坐薬または筋肉注射を投与します。
エストロゲンの値も、排卵後は低下しているため、排卵後1週間後から、エストラーナ(エストロゲンの貼り薬)を使用します。
胚移植(ET)2週間後に妊娠判定を行います。

体外受精の費用や助成金、補助金について

一般体外受精
処 置 金 額(税込)
採卵 ¥132,000(内税¥12,000)
媒精 ¥55,000(内税¥5,000)
精子処理 ¥55,000(内税¥5,000)
培養 ¥77,000(内税¥7,000)
胚移植 ¥66,000(内税¥6,000)
合 計 ¥385,000(内税35,000)
排卵誘発剤の注射、その他の注射、スプレキュア、血液検査、超音波検査、内服薬の費用は含まれていません。
体外受精(4回目以降)
処 置 金 額(税込)
採卵 ¥132,000(内税¥12,000)
培養 ¥77,000(内税¥7,000)
胚移植 ¥66,000(内税¥6,000)
合 計 ¥275,000(内税25,000)
特定不妊治療費助成制度は、保険がきかない体外受精・顕微授精に支払った医療費を、国と自治体が助成する制度です。
都道県府・指定都市・中核市で行なっていて、厚生労働省が治療費用の一部を補助しています。
不妊治療の医療費控除など助成制度について

体外受精の成功率や確率について

ART(体外受精・顕微授精)の成績の影響を及ぼす大きな6つの柱には、ART実施前の検査、ovarian reserveを評価した適切な卵巣刺激、採卵、Laboratory work(Quality Control, Quality Assurance)、胚の選別と胚移植、黄体補充があります。この柱のどの部分が悪くても良好な妊娠率を得ることができません。
ART成功のポイント詳細はこちら 当院の不妊治療・体外受精の成功率はこちら

体外受精のリスクや流産率

体外受精や顕微授精を実施する上で最も重要なことは、安全第一のシステムです。
また、1%でも妊娠率を高めるための継続した努力です。

体外受精で懸念されるリスク

体外受精や顕微授精で懸念されるリスクには、体外に取り出して受精させる際に、卵子や精子にかかるストレス、卵子を採取する際の膣、卵巣への影響、受精卵を培養する際の衛生面などがあります。
当院では、『安全第一』を最優先事項として、以下のような取り組みを行っています。

木場公園クリニックの取り組み

  1. 妊娠しやすい体づくりのサポート

    栄養解析を行って、体に足りていない栄養素を特定して、個別のサプリメント療法を行っています。 また、子宮や卵巣の血流改善の目的で、低反応レーザー療法も実施しています。

  2. 最新技術による超音波検査

    基本検査で実施する超音波検査では、GEヘルスケアジャパン社の3D観察も可能な解像度の高い超音波断層装置(Voluson S8)を採用しています。
    また、採卵にはGEヘルスケアジャパン社の解像度の高い超音波断層装置(Voluson P8)を使用しています。
    採卵用のプローブは採卵直前に、1本1本丁寧に7分かけて高水準消毒を行っています。

  3. 良好精子選別後顕微授精(IMSI)

    ICSIが始められた当初は、精子の運動性におもに注目して精子を選別していました。 精子のサイズは胚や卵と比べて20分の1しかないにもかかわらず、ICSIにおける精子は、卵や胚を通常観察する際に用いる400倍率の倒立顕微鏡下で、観察・評価・選別しています。 精子を詳細に観察して選別するために、ICSIに用いる倒立顕微鏡の観察倍率を上昇させて、解像度を高めることで、より細かく精子の形態(特に精子頭部における空胞の有無)を観察しながら良い精子を選別し、それを顕微授精に用いるのがIMSI(Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection) 形態良好精子選別後顕微授精です。

  4. リアルタイムでのデータ記録

    木場公園クリニックでは、リアルタイムで直接コンピューターにデータ入力を行い、すべてのフロアで入力されたデータは有線でPCに接続されており、常にそれを確認できます。

  5. 完全無停電の電力供給システム

    通常電源停電時もUPSと組み合わせているため瞬時も電源が停止せずかつ防災用とは異なり電算機電源にも利用できる精密な波形精度の発電機でバックアップしています。
    無停電となるものは、インキュベーター、高性能エアコン、冷蔵庫などです。

  6. タイムラプスシステムで培養の経過を観察

    通タイムラプスとは、一定間隔で胚を撮影して、その写真を連続で映し出すことで動画のように見ることができる技術です。
    従来は胚の観察は、その都度培養器(インキュベーター)から胚を取り出して顕微鏡下で行われていました。
    当院が採用しているEmbryoScope+(タイムラプスシステム)では、培養器の中にカメラが内蔵されているため、胚を外に取り出さなくても10分毎に器械が胚を撮影してデータが蓄積されます。
    タイムラプスシステムでは得られる胚の情報量が多くなるだけではなく、大事な胚への外的ダメージを大幅に軽減させ、胚を培養する環境が一定となるため、良好な胚盤胞が得られる確率が増加します。
    当院のデータでは、胚盤胞到達率は従来のインキュベーターでは48.8%、EmbryoScope+では60.0%と、EmbryoScope+で胚盤胞到達率が高い結果でした。 また、当院では患者さまにPCのモニター上でタイムラプス動画をお見せしながら、胚の説明をしています。

良い受精卵とは 受精卵のグレード

複数の卵子を採取(採卵)し受精させて培養します。受精後に受精卵が発育したもの胚と言います。
ヒトの胚は、見た目がきれいな胚でも約40%に染色体異常があると言われています。外観が悪い胚では染色体異常の割合が増加します。つまり、染色体異常の確率が少ない胚を選んでなければ、医師が一生懸命胚移植をしてもいい結果には結びつきません。
良好な胚を選択するために、採卵日の卵、前核期胚(1日目の胚)、3日目の分割した胚、5日目の胚盤胞とそれぞれ指標を決めて評価を行ないます。
胚盤胞には内細胞塊(胎児になる部分)と栄養芽層(胎盤になる部分)があります。Gardner([胚盤胞(Gardner)の分類]参照)は胚盤胞のステージ(時期)と内細胞塊と栄養芽層の細胞数で胚盤胞を分類しています。分化が早く細胞数の多い胚盤胞ほど良好な胚盤胞です。

着床時は痛みを感じるのか

受精卵が子宮内膜に潜り込むことを着床といいます。このときに着床痛があるかは、よくわかっていない部分が多いのです。
体外受精での受精も同様のことで、人知れず行われており、よほど敏感な人でなければ着床痛は感じないといってもよいでしょう。
ただ着床時に下腹部の痛みを実感する方はおり、これが着床痛なのかは明らかになっていません。
絨毛を使って子宮内膜の奥に入り込み、母体の血液から栄養や酸素をもらいます。
これには受精から7日ほどかかるとされており、着床痛があるとすれば、その頃に感じるはずです。
体外受精で受精すると、着床痛以外にも症状が出やすくなります。
胸の張り・軽い吐き気・下腹部痛・倦怠感・腰痛・頭痛などの症状です。
着床時に軽い出血がみられる場合は、妊娠の可能性があるといえます。
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木場公園クリニックの特徴

木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
少しでも安心して不妊治療を受けていただけるよう、
様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。

海外・国内の学会参加による
世界レベルの最先端の治療を追及

開院以来20年にわたり診療で蓄積された診療経験や検査・治療の結果、症例をもとに、
より良い不妊治療の成果を出すために、日々行っている研究や検討を紹介しています。

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着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。

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胎児精密超音波検査について

胎児精密超音波検査では胎児の形態異常や構造異常の評価、胎盤臍帯の評価を超音波を使って詳細に行います。
これまで胎児の一般的な超音波スクリーニング検査は妊娠20週前後で評価するのがbestと考えられてきましたが、超音波診断装置の技術の向上と診断技術の改良により妊娠の早い段階で胎児の構造を観察することが可能となりました。

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卵巣刺激
(高刺激・中刺激・低刺激・自然周期)

女性の実年齢と卵巣年齢がイコールではないため、それぞれの方の卵巣の状況に応じて刺激法を選んでいます。
当院では高刺激の患者様と低刺激の患者様の割合は半々です。
高刺激と低刺激のどちらがいいのかではなく、体外受精や顕微授精を行う施設として重要なことはいろいろな卵巣刺激法を選択肢として持っていることです。

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