体外受精の治療時の痛みについて|軽減するための取り組み | 木場公園クリニック-JISART認定 体外受精・顕微授精
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体外受精の治療時の痛みに
ついて|軽減するための取り組み

更新日時:2025.10.15
体外受精や顕微授精においては、以下のようなさまざまな場面で痛みを感じることがあります:
・採血、皮下注射、超音波検査
・採卵時の膣洗浄、麻酔注入、局所麻酔下の採卵、採卵後の腹腔内出血
・卵巣過剰刺激症候群、卵巣捻転、骨盤腹膜炎、チョコレート嚢腫の破裂
・胚移植
また、妊娠の過程で発生する流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)においても痛みが生じ、手術が必要となる場合もあります。
なお、痛みは体からの重要なサインとなることがあるため、強い持続的な痛みがある場合は、必ずクリニックへ連絡をしましょう。
  1. 目次

  2. 体外受精の治療時の痛み

  3. 不妊治療時の痛みを軽減するための取り組み

  4. 納得して体外受精に望もう

体外受精の治療時の痛み

ホルモン採血、経膣超音波検査、排卵誘発剤などの注射、採卵、胚移植などの際に、痛みが起こる場合があります。

ホルモン採血の痛み

体外受精の採卵周期に入ると、卵胞(卵子が入っている袋)の成長を確認するために複数回のホルモン採血が行われます。
採血時のチクっとした痛みや、採血後に痛みが残ることもあります。
採血後は5分程度しっかりと圧迫止血を行いましょう。

経腟超音波検査の痛み

体外受精の採卵周期中に、卵胞の成長を確認するために経腟超音波検査を数回行います。
通常は大きな痛みはありませんが、子宮内膜症がある場合や卵巣が見づらい位置にある場合などは、不快感や痛みを感じることがあります。

排卵誘発剤などの注射の痛み

排卵誘発剤注射の使用時に痛みがあります。
注射薬をゆっくりと注入することで痛みが軽減されます。
排卵誘発剤の注射の副作用として、頭痛が出ることもあり、市販の痛み止めのお薬を飲んでも問題ありませんが、症状が強い場合は必ず医師にご相談ください。

卵巣過剰刺激症候群による痛み

卵巣刺激法で高刺激法を選択した場合には、排卵誘発剤の注射の影響で、卵巣が過剰に反応して腫れることがあります。
このことを、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と言います。
OHSSが発症すると、採卵前や採卵後に下腹部に違和感や強い痛みを感じる場合があります。

膣の洗浄時の痛み

採卵前には、外陰部と膣内を温かい生理食塩水で丁寧に洗浄します。多少の痛みや違和感を伴うことがあります。
局所麻酔では膣の洗浄は局所麻酔を行う前に実施しますが、静脈麻酔では麻酔を行った後に膣の洗浄を実施します。
当院(木場公園クリニック)では、消毒薬が卵子に悪影響を及ぼす可能性があるため、消毒薬は使用していません。

採卵時の痛み

当院では、局所麻酔または静脈麻酔を行っていますが、施設によっては無麻酔で採卵を実施している場合もあります。
無麻酔で採卵を行っている施設では、採卵前に座薬などの痛み止めを服用して痛みを和らげることがあります。
局所麻酔での採卵中に痛みが強い場合には、採卵の途中で静脈麻酔に変更する場合もあります。
また、静脈麻酔にはソセゴンを点滴のラインを通して静脈に注入した後、ディプリバンを使用しています。
ソセゴンを注入すると、点滴が入っている静脈のところが痛くなる場合があります。

胚移植時の痛み

胚移植は基本的に痛みが少ない処置です。
ただし、子宮の頚管がすごく曲がっていて胚移植用のカテーテルが挿入しづらい場合は、痛みを感じる時もあります。
当院では原則的として胚移植時の痛み止めの座薬は使用していません。

治療後に起こる可能性がある痛み

採卵後に以下のような理由で痛みが起こることがあります:
・腹腔内出血:ごく稀に採卵針を刺した部位から出血し、お腹に血がたまって痛む場合があります。
・OHSSの発症:卵巣が腫れて強い腹痛を感じることがあります。
・卵巣の茎捻転:腫れた卵巣がねじれることで断続的な強い痛みが生じます。
・チョコレート嚢胞の破裂:卵巣にチョコレート嚢胞がある方は、破裂により突然の痛みを感じることがあります。
・骨盤内感染症:採卵後に感染が起こると、発熱や痛みを伴うことがあります。
また、採卵後に月経が来る際、生理痛が強くなることがあります。
妊娠が成立した場合も、着床出血や初期症状としての痛みが生じることがあります。

治療後に起こる可能性がある痛み

異所性妊娠とは、胚が子宮以外(卵管・卵巣・腹膜・子宮頸部など)に着床してしまう状態です。
流産や異所性妊娠では、腹痛や出血が伴い、手術が必要になることもあります。
違和感や痛みがあるときは、早めに医師へご相談ください。 卵巣刺激法の種類

不妊治療時の痛みを軽減するための取り組み

体外受精や顕微授精の採卵時や胚移植時の痛みを出来る限り軽減させるために、先端の細い採卵針や柔らかい胚移植用のカテーテルを使用します。

採卵時に細い採卵針を使用する

細い採卵針を使用した方が、採卵時の膣壁や卵巣からの出血が少なくなるため、採卵時や採卵後の痛みが少なくなります。
しかし、すごく細い採卵針を使用して、吸引圧を高くすると卵子にダメージを与える可能性が高くなります。
採卵で大切なことは、卵子にダメージを与えないように、また卵子の温度が低下しないようにテキパキと採卵することです。

採卵後は安静室でゆっくり休む

採卵後は、当院の安静室(全15室)でお休みいただけます。
局所麻酔の場合は約1時間、静脈麻酔を使用した場合は約2時間程度休憩していただきます。

子宮に負担の少ない「胚移植用のカテーテル」の使用

胚移植を成功させるために、柔らかい胚移植用のカテーテルを使用し、平滑筋でできている子宮の筋肉を収縮させないように胚移植は実施しなければなりません。
患者様によって子宮の頸管は、曲りや長さが違います。
胚移植用のカテーテルを挿入する時には、経腹超音波下にカテーテルの先を見ながら、カテーテルを子宮腔内に進めます。
経腹超音波検査用のプローブとクスコで子宮の傾きを調整しながら、慎重にカテーテルを挿入します。
胚移植にはも北里コーポレーション製のカテーテルを使用しています。
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納得して体外受精に望もう

このコラムでは、体外受精に伴う痛みの可能性と、当院における痛みを軽減するための取り組みについてご紹介しました。
どのタイミングで、どのような痛みがあるのかを事前に理解しておくことは非常に大切です。
それによって、恐怖や不安が軽減され、落ち着いて治療に臨むことができます。
私も、他院で上部消化管内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査などを受けるときは、どのような手順で検査が実施されるのか、またどのような場面で痛みが発生するかが分かっていないと非常に不安です。
不安で眠りが浅くなったり、他院を受診したくないと思うこともあります。
不安は痛みを増強させます。
医師・看護師・IVFコーディネーター・ホルモンコーディネーターから体外受精や顕微授精の説明をしっかり受け、できる限り不安を取り除き自分自身で納得したうえで治療に臨んでください。

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