受精卵(胚・胚盤胞)のグレードに
ついて|評価のポイントを解説

不妊症の検査をした後に、どのような不妊治療の方法を行うかを決定します。
不妊治療の方法には、人工授精などの一般の不妊治療と体外受精や顕微授精などの生殖補助医療があります。
体外受精や顕微授精では、排卵する前の卵子を経腟の超音波下に採取します。
女性の体の外で受精させてできた受精卵(胚)を子宮内に戻します。
体外受精や顕微授精でできた受精卵(胚)が複数個以上あるときは、どの胚を胚移植に使用するかは、胚のグレードで選別します。
胚のグレードは、胚の形(形態)で評価します。
2から8分割の胚を初期胚と呼び、採卵後5日後から着床前の胚を胚盤胞と言います。
初期胚は、分裂した割球の大きさとフラグメントの割合で評価します。
一方、胚盤胞は、内細胞塊(胎児になる部分)と栄養外胚葉(胎盤になる部分)の細胞数で、グレードを評価します。
  1. 目次

  2. 良好な(グレードの高い)受精卵とは

  3. 受精卵(初期胚・胚盤胞)のグレードの分類

  4. 受精卵のグレードに注目して胚盤胞移植を検討する基準

  5. 「タイムラプスによる胚の評価」

良好な(グレードの高い)受精卵とは

受精卵のことを胚と呼びますが、胚の形(形態)で胚の質を評価します。
良好な(グレードの高い)受精卵とは、形態が綺麗な胚のことです。

良好な受精卵

体外受精や顕微授精では、女性の卵巣内の卵子が入っている卵胞と呼ばれる袋を、経腟超音波下に穿刺をして、卵子を採取します。
一方、卵子を採取する日に、男性も射精して精液を採取して、運動している精子を集めます。
運動している精子の力で、卵子に受精をさせるのが体外受精です。
顕微授精では、卵子の中にガラス製の針を使用して精子を一匹注入して、卵子を受精させます。
  • 初期胚
  • 胚盤胞

形態不良な受精卵

  • 初期胚
  • 胚盤胞

受精卵(初期胚・胚盤胞)のグレードの分類

初期胚にはヴィーク分類、胚盤胞にはガードナー分類を使用して受精卵のグレードの評価をします。

初期胚のグレード

初期胚のグレードの評価には、ヴィーク分類を使用します。
胚の質を示す初期胚のグレードは、1~5段階に分けられています。
グレードの数が低いほど、良好な胚です。
初期胚のグレードは、割球の形の均一さや、フラグメントの割合から判定します。
  • Grade1 割球が均等、フラグメントを認めない
  • Grade2 割球が均等、わずかにフラグメントを認める
  • Grade3 割球が不均等で、少量フラグメントを認める
  • Grade4 割球が均等または不均等で、かなりのフラグメントを認める
  • Grade5 割球をほとんど認めず、フラグメントが著しい

胚盤胞の発育段階

胚盤胞のグレードの評価には、ガードナー分類を使用します。
胚盤胞の発育段階は、胞胚腔の広がりの程度で、クラス1から6に分類されます。
  • クラス1胞胚腔が全体の1/2以下の初期胚盤胞
  • クラス2胞胚腔が全体の1/2以上の胚盤胞
  • クラス3胞胚腔が全体に広がった胚盤胞
  • クラス4胞胚腔が拡大し透明帯が薄くなった拡張期胚盤胞
  • クラス5透明帯より栄養芽層の一部が抜けかかった胚盤胞
  • クラス6透明帯より完全に脱出した胚盤胞
  • 初期胚盤胞
  • 胚盤胞
  • 完全胚盤胞
  • 拡張胚盤胞
  • 孵化胚盤胞
  • 孵化後胚盤胞
クラス3以上の胚盤胞は、内細胞塊(胎児になる細胞塊)と栄養外胚葉(胎盤になる細胞塊)をそれぞれの細胞数で評価します。

内細胞塊の評価(胎児になる細胞塊)
A:密で細胞数が多い
B:疎らで細胞数が数個である
C:細胞数が非常に少ない

栄養外胚葉の評価(胎盤になる細胞塊)
A:密で細胞数が多い
B:疎らで細胞数が数個である
C:細胞数が非常に少ない

例 4AB
数字の4は、胚盤胞の発育段階のクラス、次のAは、内細胞塊の評価、最後のBは栄養外胚葉の評価です。
つまり、4ABの胚盤胞とは、発育段階がクラス4の胞胚腔が拡大し透明帯が薄くなった拡張期胚盤胞で、内細胞塊の評価はAで、密で細胞数が多く、栄養外胚葉の評価はBで、疎らで細胞数が数個であるとなります。 凍結融解胚盤胞移植の成績

受精卵のグレードに注目して胚盤胞移植を検討する基準

体外受精や顕微授精を実施して、培養3日目にグレードの良い初期胚が3個以上あるときは、初期胚移植より胚盤胞移植の妊娠率が高くなります。

培養3日目の胚の状態が良い

卵胞から採取した卵子と精子を受精させて、胚が順調に成長し、培養3日目に良好な初期胚(分割期胚)が3個以上あるときは、培養期間を延ばして胚盤胞まで培養することを検討すると良いと思います。
理由は、初期胚よりも胚盤胞で、着床率(妊娠率)が高いからです。
胚盤胞移植の利点としては、
  • 確実に胚盤胞まで成長した胚を胚移植できる
  • 胚盤胞は生理的にも子宮腔内にある
  • 採卵後5日目になると子宮の収縮が少なくなる(子宮の収縮が多いと着床率が低下する
  • 頸管粘液が少なくなる(頸管粘液を上手に除去して胚移植をすると妊娠率が上昇する)
があります。
胚盤胞移植の欠点としては、すべての胚が胚盤胞にならずに、胚移植がキャンセルになることがあるがあります。

良好な初期胚を移植しても着床しない

初期胚の状態が良いけれど、着床しない場合は胚盤胞まで培養して、移植することを検討すると良いと思います。
体外で胚盤胞まで発育が進むか確認した上で移植ができるからです。

「タイムラプスによる胚の評価」

体外受精や顕微授精でできた受精卵(胚)が複数個以上あるときは、どの胚を胚移植に使用するかは、
高い妊娠率を得るために重要なポイントです。
従来、胚の観察は、その都度培養器(インキュベーター)から胚を取り出して顕微鏡下で行われていました。
胚をインキュベーターから出し入れする回数を減らすために、胚の観察は、採卵した日を0日目として、
1日目、3日目、5日目に行っていました。

現在では、カメラを内蔵している培養器が開発され、胚を培養器から外に取り出さなくても胚を観察することができるようになりました。
このシステムのことをタイムラプスシステムと言います。
タイムラプスとは、一定間隔で胚を撮影して、その写真を連続で映し出すことで動画のように見ることができる技術です。
我々のクリニックが採用しているタイムラプスシステムのEmbryoScope+(Vitrolife社)では、培養器の中にカメラが内蔵されているため、胚を外に取り出さなくても10分毎に器械が胚を撮影してデータが蓄積されます。
また、胚を培養する培養液も進化しています。

タイムラプスシステムでは得られる胚の情報量が多くなるだけではなく、大事な胚への外的ダメージを大幅に軽減させ、
胚を培養する環境が一定となるため、良好な胚が得られる確率が増加します。
我々のクリニックのデータでは、胚盤胞到達率は従来のインキュベーターでは48.8%、EmbryoScope+では60.0%と、
EmbryoScope+で胚盤胞到達率が高い結果でした。
このタイムラプスシステムを使用することにより、胚が異常な分裂のパターンをしていないか、時間軸にそって胚が成長しているかなどを加味して、移植する胚を選択することができます。
また、我々のクリニックでは、来院された患者様に、胚の成長の動画をお見せして、胚の説明を行っています。

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