体外受精の保険適用|治療の適用範囲・条件・活用時の注意点 | 木場公園クリニック-JISART認定 体外受精・顕微授精
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体外受精の保険適用|治療の適用範囲・条件・活用時の注意点

更新日時:2025.11.12
これまで自費でしか受けられなかった多くの不妊治療が、2022年4月から
公的医療保険(健康保険)の対象となりました。
これにより、患者さんの自己負担は原則として医療費の3割に。
「子どもを望んでいるけれど、費用の負担が大きくて治療に踏み出せない…」
そんなご夫婦にとって、クリニックの受診や体外受精へのステップアップに対するハードルが大きく下がりました。
  1. 目次

  2. 体外受精や顕微授精が保険適用に

  3. 保険適用によって費用はどのように変わった?

  4. 保険適用となる条件とは

  5. 保険適用によるメリット

  6. 保険適用を活用する際の注意点

  7. 保険適用で結果が出ない時はどうする?

体外受精や顕微授精が保険適用に

2022年4月からは、「人工授精」、生殖補助医療である「体外受精」「顕微授精」、男性不妊の治療として行われる「精巣内精子回収法」など、日本生殖医学会のガイドラインによって、安全性、有効性が確認された基本的な治療すべてが保険診療の対象となっています。

保険適用される不妊治療

*一般不妊治療
・タイミング法
・人工授精(AIH)
*生殖補助医療(ART)
・採卵
・採精
・体外受精(IVF)
・顕微授精(ICSI)
・受精卵・胚培養
・胚凍結保存
・胚移植
体外受精(IVF)は、女性の卵巣から採取した卵子に、男性の精子をふりかけて受精させる方法です。
一方、顕微授精(ICSI)は、1個の精子を直接卵子の細胞質内に注入する方法です。
この2つは「受精方法」が異なるだけで、採卵・採精・胚(受精卵)の培養・凍結・胚移植といった治療の流れは同じです。
体外受精と顕微授精のどちらを選択するかは、精子の状況や過去の体外受精で受精障害があったかなどにより医師が判断します。
当院では、2022年の保険適用開始以来、医療レベルを保ちつつ、可能な限り保険診療を優先して行っており、現在は生殖補助医療のほぼ8割が保険診療です。
保険診療が始まった当初、これまでの自由診療に比べて使用できる薬剤や検査の回数などに一部制限があることから、体外受精の成績に影響があるのではと懸念する声もありました。
しかし実際には、助成金制度を利用して自費診療を行なっていた時期と比較しても、保険診療を開始してからの期間で、治療成績に差はありません。

保険適用によって費用はどのように変わった?

保険診療では、治療に使用する薬剤や検査、採卵や受精、培養、移植など、すべてに対して点数が決められています。これらは全国どの施設でも金額は同一です。
より多くの卵子を育てるための卵巣刺激に使用する排卵誘発剤の量や種類は、患者さんの卵巣機能に応じて異なるため一概には言えませんが、卵胞チェックの超音波やホルモン検査費、薬剤費、再診料などは毎回かかるため、1周期あたり約2~3万円の通院費用がかかります。
さらに、
  • 採卵できた卵子の数

  • 受精卵の培養個数(前期培養と後期培養)

  • 胚の凍結個数

などは数に応じて加算され、費用が変動します。
また、体外受精か顕微授精か、より妊娠の確率が高いとされる「胚盤胞」まで培養するか、採卵周期に移植を行う新鮮胚移植か、凍結した胚を次周期以降に融解して移植するか、といった個々の患者さんの治療内容によってもトータルの費用は異なりますが、1周期あたりの総額はおおむね15~20万円程度が目安です。
保険適用が始まる前は、1回の治療に50~100万円かかるケースもあったので、患者さんの経済的負担はかなり軽減されたといえます。
木場公園クリニックでの保険適用の料金はこちらを参照ください。
診察を予約する 03-5245-4122 03-5245-4122

保険適用となる条件とは

生殖補助医療である体外受精や顕微授精を保険診療として受けるには、あらかじめ定められた適用条件を満たしている必要があります。

カップルの関係

法的な婚姻関係、または事実婚であることが必須です。
【法的な婚姻関係の場合】
  • 戸籍謄本などによる確認が必要です。


【事実婚の場合】 以下の内容を申告書にて提出する必要があります。
  • 双方が重婚状態にないこと

  • 同一世帯であること(異なる場合はその理由)

  • 治療によって出生した子どもを認知する意思があること

また、治療開始時には、治療計画の作成が義務づけられていて、治療はその計画に従って進められます。そのため、初回受診時には原則としてカップル2人で来院が求められます。医師からの説明を受け、内容に同意したうえで治療がスタートします。

年齢

治療計画の作成日時点で、女性が43歳未満であること。男性の年齢制限はありません。

回数

保険診療で受けられる体外受精や顕微授精は、治療回数の上限が設けられています。
  • 女性が40歳未満の場合:最大6回まで

  • 女性が40歳〜43歳未満の場合:最大3回まで


この回数は、胚移植を行った回数でカウントされ、採卵の回数は関係ありません。
また回数のカウントは「1子あたり」の回数なので、次のお子様を希望する際にはリセットされ、再び回数が適用されます。
なお、一般不妊治療である人工授精については、年齢や回数の制限はありません。

保険適用によるメリット

医療費の3割負担で治療が受けられることで、経済的に余裕のない若い世代でも、早い段階から受診や治療を始めやすくなり、妊娠の可能性を高めることにもつながります。
また、それぞれの治療段階でかかる費用が明確になったことも大きなメリットの1つです。
保険適用以前は、費用の一部を助成する「特定治療支援事業」がありましたが、いったん窓口で治療費全額を支払った後に助成金が支給される仕組みだったため、一時的な負担が大きい点が課題でした。
さらに、公的医療保険の対象となったことで、「高額療養費制度」が利用可能になりました。この制度では、1か月に支払った医療費が一定の上限額を超えた場合、超えた分が後日払い戻されます。上限額は、年齢や所得、加入している保険制度によって異なりますので、くわしくはご自身が加入している保険組合、または国民健康保険の場合はお住まいの自治体に確認しましょう。

保険適用を活用する際の注意点

保険適用の治療で得られた胚をすべて移植し終えるまで、次の治療周期に進めない

保険診療で採卵、受精を行い、複数の胚(受精卵)を凍結保存した場合、その凍結胚をすべて移植し終えるまでは、保険を使って次の治療周期に進むことはできません。
ただし、次のお子様を希望する際には、余剰胚を利用した融解胚移植も保険の対象となります。
なお、採卵の回数には制限がないため、胚が得られるまで何度でも保険診療で採卵を行うことが可能です。

保険診療と自費診療を同じ周期に行うことはできない

保険診療と、保険のきかない自費診療を同時に行うことを「混合診療」と言いますが、不妊治療では混合診療は認められていません。
つまり、一連の治療の流れの中で1つでも自費診療の項目があると、その周期に実施した治療は、本来保険が適用されるものであってもすべて自費扱いとなってしまいます。

「先進医療」は保険診療と併用できる

「先進医療」とは、保険診療と併用して受けることができる特別な検査や治療のことです。
現在の制度では、先進医療の費用は全額自己負担となりますが、それ以外の治療(採卵や胚移植など)が保険適用されていれば、一部を保険診療として組み合わせることができます。
なお、どのような先進医療を行っているか、またその費用は、クリニックによって異なります。
気になる場合は、事前にクリニックに確認しておくと安心です。

木場公園クリニックで実施している先進医療
  • タイムラプス

    顕微鏡のついたカメラを内蔵し、24時間一定時間ごとに連続して撮影ができる培養器。胚を取り出すことなく観察ができ、従来ではわからなかった分割の様子がよりくわしくモニターできる。

  • ERA(エラ)

    子宮内膜が胚を受け入れるのに適した時期かどうか、胚移植に最適のタイミングを調べる検査。

  • EMMA・ALICE(エマ・アリス)

    EMMAは子宮内の乳酸桿菌(ラクトバチルス)の割合を、ALICEは慢性子宮内膜炎の原因菌の有無などを調べる検査。ラクトバチルスが少ないと着床などに影響し、不妊治療の成績が下がるといわれている。

  • IMSI(イムジー)

    顕微授精の際に、超高倍率の顕微鏡で精子の形態を観察し、良好な精子を選別する技術。

  • PICSI(ピクシー)

    顕微授精の際に、ヒアルロン酸を含む培養液を用いて、成熟した精子を選別する技術。

  • Zymot(サイモット)

    膜構造を用いた生理学的精子選択術。

  • SEET(シート法)

    受精卵を胚盤胞まで培養し凍結する際に、培養液も別途凍結保存し、移植周期にまず培養液を注入し、その後に胚盤胞を移植する方法。

  • 二段階胚移植

    受精後2~3日目の初期胚をまず1個移植し、受精後5日目まで培養をつづけて育った胚盤胞をさらに1個移植する方法。最初の移植で子宮内膜が着床しやすい環境になることを期待するもの。

  • 子宮内膜スクラッチ

    着床前にわざと子宮内膜に小さな傷をつける方法。傷の修復過程で分泌されるサイトカインにより、着床しやすい子宮環境にする目的で行われる。

これらの先進医療にかかった費用を助成する自治体も増えています。例えば東京都では、保険診療と併用して実施した先進医療部分に対して、1回あたり15万円を上限に、その7割を助成しています。

そもそも保険診療ができない治療もある

「免疫性不妊症」または「免疫性不育症」では、保険で認められていない免疫抑制剤を使用しなければ妊娠が望めないため、自費診療となります。
また、凍結融解胚移植を行う際に、ホルモンを補充しても子宮内膜が非常に薄くPRP療法(患者さん自身の血液から抽出した高濃度の血小板を子宮腔内に注入する方法)が必要な場合も、保険適用外となります。

保険適用で結果が出ない時はどうする?

通常の保険診療を行っても妊娠が成立しない場合には、先進医療を併用

当院では、ほぼ全例でタイムラプスを行っており、顕微授精の成績が悪い場合は、IMSIやPICSIを行ないます。
さらに、2回胚移植を行なっても着床しないケースでは、ERA、EMMA、ALICE検査を実施し、SEET法や二段階胚移植などの追加的なアプローチも行っています。

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)を受ける

移植前に胚の細胞の一部を採取して染色体の数を調べる検査が「PGT-A」です。染色体の数に異常がある胚は着床しづらく、また流産の確率が高いため、染色体に問題のない胚を選んで移植することを目的として行われます。
現時点ではPGT-Aは保険適用外のため、この検査を行う周期の治療すべては自費扱いになりますが、それでも受けたほうがよいケースは多数あります。

例えば、
  • 良好胚を2回移植しても妊娠に至らない場合

  • 2回以上の流産・死産の経験がある方

  • 特に40歳前後で治療を検討している方

には、意味のある検査だと思います。
また、保険適用の回数上限を超えても治療の継続を希望する方には、積極的におすすめします。
診察を予約する 03-5245-4122 03-5245-4122
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木場公園クリニックの特徴

木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
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様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。

海外・国内の学会参加による
世界レベルの最先端の治療を追及

開院以来20年にわたり診療で蓄積された診療経験や検査・治療の結果、症例をもとに、
より良い不妊治療の成果を出すために、日々行っている研究や検討を紹介しています。

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着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。

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卵巣刺激
(高刺激・中刺激・低刺激・自然周期)

女性の実年齢と卵巣年齢がイコールではないため、それぞれの方の卵巣の状況に応じて刺激法を選んでいます。
当院では高刺激の患者様と低刺激の患者様の割合は半々です。
高刺激と低刺激のどちらがいいのかではなく、体外受精や顕微授精を行う施設として重要なことはいろいろな卵巣刺激法を選択肢として持っていることです。

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