女性不妊の検査 | 木場公園クリニック 不妊・不妊治療専門

女性不妊の検査

女性不妊の検査

不妊症の原因を知るためにさまざまな検査を行います。
こちらは、当院の女性不妊検査を紹介致します。

ホルモン検査

月経の始まった日を1日目として、3日目から5日目までの間に血清のFSH、LH、プロラクチン、エストロゲンを測定します。
排卵の時期には尿中LHを、高温相(黄体期)の中期に、黄体機能を評価するために血清のプロゲステロンとエストロゲンを測定します。

FSH(卵胞刺激ホルモン)

下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に作用して卵の入っている卵胞を発育させます。
また、LHとともにエストロゲンの合成を助けます。
血清FSH値から、卵巣がどのくらいの排卵能力を持っているかが、わかります。血清FSHの値が非常に高いということは、卵巣の機能が非常に悪いことを意味しています。

LH(黄体化ホルモン)

LHには成熟した卵を排卵させ、黄体を形成させる作用があります。
排卵約34-42時間前にピーク状に分泌する(LHサージ)ため、排卵の時期を推定するために尿中LHを簡易測定キット(約2分で結果がでる)を用いて検出します。

プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)

下垂体から分泌されるホルモンで、乳汁分泌ホルモンという名前の通り、分娩後の褥婦さんに大量に分泌されているホルモンです。
このホルモンは、男女ともに正常でも少量分泌されていますが、値が高くなると男女ともに不妊症の原因になります。女性では、プロラクチンの値が高くなるのにしたがって、黄体機能不全、無排卵、無月経になります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

エストロゲンは、卵巣の顆粒膜細胞というところから分泌され、卵胞期(低温期)の子宮内膜を厚くし、排卵前に子宮頚管粘液量を増加させる作用があります。
また、エストロゲンは自律神経や骨などにも作用しています。閉経後にエストロゲンの分泌が欠乏すると、自律神経失調症になったり骨粗鬆症になったりします。
プロゲステロン(黄体ホルモン) プロゲステロンは、排卵した後に形成される黄体から分泌するホルモンで、子宮内膜に作用して内膜の正常を変化させて胚(受精卵)が着床しやすい環境にしたり、子宮の筋肉の緊張を低下させます。
つまり、黄体期の中期のプロゲステロン値より黄体機能を評価することができます。
黄体期の中期のプロゲステロン値と卵巣機能
プロゲステロン(ng/ml) 卵巣機能
10.0以上 黄体機能正常
5.0~9.9 黄体機能不全
4.9以下 無排卵

超音波下卵管通過性検査

超音波下卵管通過性検査は卵管の通過性を調べる検査です。
通常、月経終了後から月経9日目ごろにまでに実施します。
実施前にはクラミジアの検査を実施し、陰性であることを確認してから実施します。
子宮、卵管、骨盤内の炎症が疑われるときは治療をしてから実施します。
検査実施後2日後まで、抗生物質を1回1錠毎食後、2日間服用します。
超音波下卵管通過性検査には妊娠率向上効果があるので、超音波下卵管通過性検査周期の排卵日は逃さず必ず性交の指導をさせていただきます。
当院では、レントゲンによる被曝のリスクを少しでも避けるために、子宮卵管造影ではなく、超音波下卵管通過性検査を行っています。
また、子宮内腔の形は、3D超音波検査で診断します。

子宮内膜着床能(ERA)検査

胚が子宮に着床できる時期は限られており、この時期のことを「着床ウインドウ」と呼びます。
ホルモン補充周期を用いた凍結融解胚盤胞移植では、通常はプロゲステロン(注射または膣座薬)を5日間使用後、自然周期では排卵5日後に胚移植を行います。
しかし、人によっては「着床ウインドウ」が前や後ろにずれでいるために着床が起きない場合があります。
ERA検査は良好な胚を数回胚移植しても着床が起きない方が対象となります。
  • 検査方法

    実際に胚移植をするのと同じ方法で子宮内膜を作成した後、胚移植は行わずに子宮腔内に細いカテーテルを挿入して子宮内膜をごく少量採取します。
    採取した子宮内膜からmRNAを抽出、次世代シーケンサーを使用して、子宮内膜の着床に関連している236個の遺伝子の発現レベルの分析を行います。

  • 検査結果

    検査結果は、受容前期(Pre-Receptive)、受容期(Receptive)、受容後期(Post-Receptive)と判定されます。
    受容前期(Pre-Receptive)と判定された場合には融解胚移植を正確に通常より後ろにします。
    例:プロゲステロン使用後149±3時間後に融解胚移植を行います。
    受容後期(Post-Receptive)と判定された場合には融解胚移植の時期を正確に通常より前にします。
    例:プロゲステロン使用後100±3時間後に融解胚移植を行います。

染色体検査

DNAが集まったものが遺伝子で、遺伝子が集まったものが染色体です。ヒトでは染色体の数は46本で、1番から22番目までの常染色体を2本ずつと、女性では性染色体であるX染色体を2本、男性では性染色体であるX染色体とY染色体を1本ずつで構成されています。
ヒトの染色体は、採血して血液中のリンパ球だけを取り出して、培養液の中で72時間培養した後、染色をして数と構造異常を調べます。

子宮鏡検査

子宮鏡とは、子宮腔内に直径3mmの非常に細い内視鏡をいれて水を流して、子宮腔を膨らませながら、子宮腔を観察する検査です。ほとんどの方が麻酔をかけないで行える検査です。
子宮内膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫、子宮腔癒着症、卵管口の状態を観察することができます。

超音波検査

主に不妊症の検査では、経膣プローブによる超音波検査をします。
まず、初めに来院された時には、子宮の大きさ、子宮筋腫、子宮腺筋症の有無、子宮内膜の厚さ、子宮体部ポリープや子宮の奇形がないかどうかを調べ、また、子宮と卵巣の間の癒着を調べます。
また卵管に著明な炎症があり、卵管水腫がある時も超音波で診断が可能です。
排卵の前には、卵巣内の主席卵胞(最も大きい卵胞)の大きさや子宮内膜の厚さを測ります。また、きちんと排卵したかどうかの確認をすることもできます。

その他の検査

基本検査でおおまかな不妊症の原因はわかりますが、その基本検査で異常が見られた場合などにその他の検査が必要になります。ここでは、基本検査の他にある検査について紹介いたします。

LH-RH test

視床下部から分泌しているホルモンであるLH-RHを投与して、下垂体から分泌しているホルモンのLHとFSHを経時的に調べて下垂体の反応を調べることにより、視床下部、下垂体、卵巣の機能を調べる検査です。
原発性無月経、第2度無月経、多嚢胞性卵胞症候群の方に実施します。
検査は、月経3日目から5日目までの午前中に行います。
原発性無月経や続発性無月経の患者様には月経周期に関係なく行います。
P-testやEP-test後は、ホルモンの影響がなくなって2週間以上たってから行います。
  • 方法

    まず、採血をした後、生理食塩水20mlに希釈したLH-RH(ルタミン)100を静脈注射します。注射後15分後、30分後、(60分後、120分後)に採血をしてLHとFSHを調べて、検査の結果より視床下部不全型、下垂体不全型、卵巣不全型、多嚢胞性卵巣症候群型に分類します。

  • 視床下部不全型

    LH,FSHの前値が、低値または正常で、LH-RHに良好な反応を示すもの。

  • 下垂体不全型

    LH,FSHの前値が、低値で、LH-RHに反応しないもの。

  • 卵巣不全型

    LH,FSHの前値が、高値で、LH-RHに中程度の反応を示すもの。

  • 多嚢胞性卵巣症候群

    LHの前値は高く、FSHの前値は正常で、LH-RHにLHは過剰に反応するが、FSHは正常の反応を示すもの。

TRH test

TRH test潜在性高プロラクチン血症があるかどうかを調べる検査です。プロラクチンというホルモンは本来、分娩後授乳期間中に分泌され、乳汁の分泌を促進させるためのものですが、妊娠を望む女性にプロラクチンの分泌が亢進すると、月経が不順になったり、排卵が障害されます。それを高プロラクチン血症といいますが、潜在性高プロラクチン血症とは、日中に測定したプロラクチンが正常であっても、夜間に上昇して排卵障害や黄体機能不全症を起こすような病気です。
視床下部から分泌しているTRHは、甲状腺刺激ホルモンとプロラクチンの分泌を刺激します。この作用を利用して潜在性高プロラクチン血症を診断します。
検査は午前10時から12時に実施するのが良いとされています。
  • 方法

    まず採血した後、生理食塩水20mlに希釈したTRH500を静脈注射します。注射後15分後、30分後、(60分後、120分後)に採血をしてプロラクチンを測定します。

  • 診断

    前値が正常で、負荷後のプロラクチン値が、70ng/ml以上のものを潜在性高プロラクチン血症と診断します。

P test

無月経の方に、その無月経が第一度無月経か第二度無月経か(内因性のエストロゲンを分泌しているかどうか)を診断するために検査を行います。
  • 方法

    プロゲステロン50mgを1回筋肉注射するかプロゲステロン製剤であるデュファストンを1日10mg、5日間内服し、3?7日後に出血が認められるかどうかを検査します。
    出血が認められた方は、第一度無月経と診断します。出血が認められなかった方は、EP testを行います。

EP test

P testを行っても、出血が認められなかった方にEP testを行います。
  • 方法

    まずプレマリン1.25mgを10日間内服していただいた後、次にプレマリン1.25mgとプロベラ5mgを11日間内服して、2~7日後に出血が認められるかどうかを検査します。
    出血が認められた方は、第二度無月経と診断します。出血が認められなかった方は、子宮性無月経と診断します。

甲状腺機能検査(free T3, free T4, TSH)

下垂体から分泌されている甲状腺ホルモン(TSH)と甲状腺から分泌されているホルモンのfreeT3とfreeT4を血液検査で調べて、甲状腺の機能が正常かどうかを調べる検査です。
甲状腺ホルモンは、高くても低くても不妊症となる可能性があります。甲状腺機能亢進症、または甲状腺機能低下症の時には、甲状腺の専門の病院を受診していただきます。
  • TSH 正常値:0.48~4.50mIU/ml
  • free T3 正常値:2.5~5.5pg/ml
  • free T4 正常値:0.91~1.82ng/ml

アンドロゲン(テストステロン/アンドロステンジオン/DHEA-S)の検査

女性ではアンドロゲンの2/3は副腎というところから分泌されます。アンドロゲンの分泌が過剰になると多毛症になったり副腎性器症候群になったりします。
アンドロゲンにはテストステロン、アンドロステンジオン、DHEA-Sの3種類があります。これら3種類のアンドロゲンを調べて高アンドロゲン血症があるとき、それが卵巣性、副腎性、卵巣副腎性かを診断します。

インスリン、75gOGTTの検査

インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島と呼ばれる細胞から分泌されるホルモンで、血糖を下げる働きをしています。インスリンの分泌が減少すると糖尿病になります。
75gOGTTとはぶどう糖負荷試験のことで、75gのぶどう糖を口から飲む前、30分後、60分後、90分後、120分後、180分後に血糖値と尿糖値を測ります。検査の結果から糖尿病型、境界型、正常型に分類します。

月経血培養

結核にかかったことのある方、または結核感染の疑いのある方には月経血を培養して結核菌の有無を検査します。

子宮内膜組織検査

黄体期(高温相)の中期に、子宮腔内に組織を採取するための細い棒を挿入して、子宮体部の内膜をほんのわずかだけ採取して子宮内膜の日付を調べます。
子宮内膜の日付が2日以上遅れていると黄体機能不全と診断します。

腹腔鏡検査

腹腔鏡検査とは、全身麻酔をかけておへその下から非常に細いカメラを入れて、お腹の中を調べる検査です。お腹の中に癒着があるとそれをはがしたり、卵巣嚢腫の核出術、子宮筋腫の核出術や卵管開口術を行うこともできます。

検査及び手術適応

  1. 子宮内膜症またはその疑いがある場合
  2. 超音波下卵管通過性検査で異常があった場合(卵管閉塞、卵管さい癒着、子宮奇形)
  3. クラミジアなどの骨盤感染症の診断(急性期を除く)
  4. 多嚢胞性卵巣症候群の治療
  5. 原発性無月経または早期閉経症の卵巣生検
  6. 原因不明不妊症(機能性不妊症)
  7. 長期不妊症
  8. 卵巣嚢腫
  9. 子宮筋腫

クラミジア検査

クラミジア感染症とは、性行為感染症の一つで卵管性不妊症の約半数がクラミジア感染症が原因です。
検査法には、子宮頸部を綿棒で擦過するクラミジア抗原検査と血清中の抗クラミジア抗体検査(IgA, IgG,IgM)があります。

Miller-Korzrock test

排卵日に採取した頸管粘液と精液をスライドガラス上で接触させ、接触部分を観察する検査です。
頸管粘液内に精液が進入したときは正常とします。
頸管粘液中に抗精子抗体が存在すると、頸管粘液内に精子は進入しなかったり、接触面で精子の振り子様運動が認められたり、たとえ頸管粘液内に精子が進入しても動きが遅かったりします。

MRI検査

MRI検査(磁気共鳴像)とは、X線を使用しないでCTスキャンと同じような像を鮮明に映し出すことができる検査です。
子宮筋腫や卵巣腫瘍の時などに実施します。

木場公園クリニックの特徴

木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
少しでも安心して不妊治療を受けていただけるよう、
様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。

海外・国内の学会参加による
世界レベルの最先端の治療を追及

開院以来20年にわたり診療で蓄積された診療経験や検査・治療の結果、症例をもとに、
より良い不妊治療の成果を出すために、日々行っている研究や検討を紹介しています。

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着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。

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胎児精密超音波検査について

胎児精密超音波検査では胎児の形態異常や構造異常の評価、胎盤臍帯の評価を超音波を使って詳細に行います。
これまで胎児の一般的な超音波スクリーニング検査は妊娠20週前後で評価するのがbestと考えられてきましたが、超音波診断装置の技術の向上と診断技術の改良により妊娠の早い段階で胎児の構造を観察することが可能となりました。

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卵巣刺激
(高刺激・中刺激・低刺激・自然周期)

女性の実年齢と卵巣年齢がイコールではないため、それぞれの方の卵巣の状況に応じて刺激法を選んでいます。
当院では高刺激の患者様と低刺激の患者様の割合は半々です。
高刺激と低刺激のどちらがいいのかではなく、体外受精や顕微授精を行う施設として重要なことはいろいろな卵巣刺激法を選択肢として持っていることです。

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