着床障害
着床障害とは
着床障害の方には、
- 着床前胚染色体異数性検査
- TRIO検査
- Th1/Th2検査
- 子宮鏡
- 不育症検査
着床前胚染色体異数性検査
東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。
実施は日本産科婦人科学会登録施設のみとなります。
研究対象の患者様
- 体外受精または顕微授精などのART治療において、直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立しない方。
- 直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復し、流産時の臨床情報が得られている方。 ご夫婦両方の染色体検査の結果、いずれかに均衡型構造異常が認められる方(検査必須)や、子宮形態異常、または抗リン脂質抗体症候群の方を除きます。
- 夫婦いずれかにリプロダクションに影響する染色体構造異
TRIO検査
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ERA(子宮内膜着床能検査)
胚が子宮に着床できる時期は限られており、この時期のことを「着床ウインドウ」と呼びます。
ホルモン補充周期を用いた凍結融解胚盤胞移植では、通常はプロゲステロン(注射または膣座薬)を5日間使用後、自然周期では排卵5日後に胚移植を行います。
しかし、人によっては「着床ウインドウ」が、前や後ろにずれでいるために着床が起きない場合があります。
ERA検査は良好な胚を数回胚移植しても着床が起きない方が対象となります。
実際に胚移植をするのと同じ方法で子宮内膜を作成した後、胚移植は行わずに子宮腔内に細いカテーテルを挿入して子宮内膜をごく少量採取します。
採取した子宮内膜からmRNAを抽出、次世代シーケンサーを使用して、子宮内膜の着床に関連している236個の遺伝子の発現レベルの分析を行います。
検査結果は、受容前期(Pre-Receptive)、受容期(Receptive)、受容後期(Post-Receptive)と判定されます。
検査結果により胚移植に最適な時期がわかり、その時間通りに胚移植を行います。 -
EMMA(子宮内細菌叢検査)
膣内や子宮腔内には乳酸桿菌(Lactobacillus)と言う善玉菌がいて、乳酸桿菌がブドウ糖を発酵させて乳酸に変化させることで、膣内や子宮腔内を弱酸性にして膣内や子宮腔内の健康を保っています。
細菌培養検査は、細菌の感染を評価する一般的な方法ですが、全ての細菌が培養されないと言う欠点があります。
最新の次世代シーケンシング(NGS)を使用した細菌叢解析を行うと、細菌培養検査では検出されない細菌までほぼ全ての細菌を評価することができます。
子宮腔内の細菌叢のLactobacillusの割合が90%未満の場合は、細菌から胚が攻撃を受ける、子宮内膜の状態が悪くなって着床率が低下する可能性があるため、乳酸菌(プロバイオティクス)の使用が有効とされています。
乳酸菌の膣錠による補充を行います。 -
ALICE(慢性子宮内膜炎の原因菌検査)
慢性子宮内膜炎(CE)は、子宮内膜の細菌叢の変化により引き起こされ、おもに細菌性病原体の子宮内膜感染による子宮内膜の持続的な炎症のことです。
女性不妊症の約30%が慢性子宮内膜炎に罹患、着床障害や不育症患者では約60%が罹患との報告もあります。
慢性子宮内膜炎は無症状なことが多いため、現在実施されている診断法では、診断をつけるのが難しく、慢性子宮内膜炎がうまく診断できない場合もよくあります。
最新の次世代シーケンシング(NGS) を使用した細菌叢解析を行うと子宮内膜に慢性子宮内膜炎の原因菌が存在するかを診断できます。
また、慢性子宮内膜炎の原因菌が検出されたときには、広域抗生物質を使用するのではなく、その菌に有効な抗菌剤を使用して慢性子宮内膜炎を治療することが可能です。
慢性子宮内膜炎の原因菌が検出されたときには、抗生物質の治療を行った後に乳酸菌(プロバイオティクス)を補充します。
Th1/Th2検査
しかし、妊娠中は免疫学的寛容が働いて(免疫が見て見ぬ振りをしてくれて)妊娠している部分は女性の体から攻撃されないように守られています。
リンパ球には免疫系の細胞達に指令を出すヘルパーT細胞があります。エイズではこのヘルパーT細胞が機能しなくなるため、免疫系がズタズタにされます。ヘルパーT細胞には1型のヘルパーT細胞(Th1)と、2型のヘルパーT細胞(Th2)があります。この二種類のヘルパーT細胞によって免疫バランスが保たれています。Th1値が高く、Th2値が低い人では、着床障害や妊娠しても妊娠している部分が女性の体から攻撃を受けることがあります。
このような方には免疫抑制剤のプログラフが有効とされています。
全く妊娠判定が陽性にならない着床障害の方は、胚移植日からプログラフを使用します。
妊娠判定がくっきり陽性になるが流産を繰り返す反復流産の方は、妊娠3週5日(胚盤胞移植の時は胚移植後1週間後)で妊娠判定をして、陽性ならその日からプログラフを開始します。プログラフはTh1/Th2比が、15.5から19では1日1錠、19から22.5では1日2錠、22.5以上では1日3錠使用します。また、Th1値が29以上の時は。プログラフを1錠追加します。分娩日前日までの使用が有効とされています。
子宮鏡
経膣の超音波検査では子宮腔は正常と診断していても、マイクロポリープ、軽度の癒着、
発赤が認められることがあります。
マイクロポリープや軽度の癒着があるときは、
胚移植の前の周期に子宮内膜掻爬術を行います。
発赤が認められたときは、抗生物質による治療を行います。
不育症検査
抗リン脂質抗体症候群といった自己免疫性疾患などがないかを調べます。
バファリンやヘパリンなどによる治療を行います。
木場公園クリニックの特徴
木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
少しでも安心して不妊治療を受けていただけるよう、
様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。