不妊治療で疲れているあなたへ ― 心身のケアとモチベーションを維持する方法 | 木場公園クリニック-JISART認定 体外受精・顕微授精
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不妊治療で疲れているあなたへ ― 心身のケアとモチベーションを維持する方法

避妊をやめれば、すぐにでも妊娠できると思いこんでいたのに、思い通りにならない。最初のうちは「いずれできるはず」とゆったりかまえていた人でも、時間がたつにつれて、「なぜ、できないの?」「どこに問題があるのかな?」と、あせりや不安が増してくるものです。

クリニックを受診して、本格的に妊活を始めても、なかなか赤ちゃんが授からない場合には、夫婦それぞれにストレスが高まり、そのことがさらに妊娠を遠ざけてしまうこともあります。

妊活に疲れているなと感じたときに、どう対応するとよいかを考えてみましょう。
  1. 目次

  2. 不妊がもたらす心身への影響

  3. 不妊治療に疲れたときの心と体のケア方法

  4. 治療を続けるためのモチベーションと心構え

  5. 治療法の見直しと選択肢

  6. 木場公園クリニックの不妊治療

不妊がもたらす心身への影響

一般的には、特に病気などの問題のない健康な男女が、避妊せずに排卵日の前後に夫婦生活をもてば、1年以内に90%が妊娠します。

そのため、妊娠を希望しているのに、1年たっても妊娠しない場合「不妊症」と診断されます。「不妊症」はなんらかの治療をしないと、それ以後自然に妊娠する可能性は非常に低くなります。

病院の受診は1年待たなくてもよい

妊活を始めて1年たっても妊娠しないときには、カップルのいずれか、あるいは両方に、何かしら妊娠を妨げる要因があると考えます。

妊活をスタートしたあと、もし赤ちゃんがやってこないようなら、必ずしも1年を待つ必要はなく、特に高齢だったり、月経不順や月経異常などのトラブルがあるなら、6カ月程度をめどに、早めに不妊治療を行っているクリニックを受診することをおすすめします。

女性の検査では、血液検査や超音波検査などで、各種ホルモンの値や排卵がちゃんと起きているか、子宮や卵管に問題がないかなどを調べます。男性の検査は、本来は泌尿器科の領分ですが、不妊治療を行うクリニックであれば、精液検査やホルモン検査などの基本的な検査は受けることができます。

時間をむだにしないためにも、最初からご夫婦そろって検査を受けることがたいせつです。

「タイミング」にこだわりすぎない

一般検査で特別に問題が見つからないときは、通常タイミング指導が行われます。

クリニックではホルモン値のチェックや卵胞の成長具合などを超音波で観察し、自分で予測するよりも、より正確に排卵日を特定できます。そして「この日に性生活を」と医師から指示されるわけですが、ここにひとつ落とし穴があります。

「排卵日ED」「タイミングED」という言葉を聞いたことはありませんか? 本来セックスは、人から指示されて行うものではありません。しかし月に一度の大事なタイミングを逃さないように、とあせるあまり、夫婦間がギクシャクしてしまうことがあります。

当初は妻の要求に応えようとがんばっていた夫も、何カ月かたつうちに、プレッシャーを強く感じるようになります。男性はデリケートで、性的にタフなタイプはごく少数。私が知る限りでも、ストレスがかかると、すぐ勃起できなくなるかたは多いものです。

妊活が不妊の原因になっては、元も子もありません。
自己流でもクリニックの指導でも、タイミング法にトライするときには、排卵日にこだわりすぎないように気をつけたいものです。排卵日ジャストでなくても、前後の数日間は妊娠のチャンスがあります。

妻から夫へはできるだけソフトに伝え、お互いにリラックスしてセックスできるといいですね。

不妊ストレスにはどんなものがあるか

不妊治療には、ここまでがんばれば妊娠できるといった確証がありません。
不妊期間が長くなるほど、ゴールの見えない治療をいつまでつづけなければならないのかと、精神的な負担を感じるのは当然です。

友人知人からの妊娠出産報告や、親や親戚からの「子どもはまだ?」という何気ない発言に傷ついたり、治療に時間をとられることで、仕事の調整や職場での人間関係にも気をつかわなくてはならないことがふえたりします。
また、今後、体外受精などの高度治療に進むとしたら、どこまで治療を継続できるのかといった経済的な不安もあるでしょう。
ある研究によると、不妊治療を受けている患者さんは、ガンの治療を受けているかたと同等のストレスを感じていると言われています。

体外受精や顕微授精を複数回受けているかたのストレスは、さらに大きいものです。妊娠できない自分には価値がないと感じたり、パートナーに対してイライラがつのったり、極端に気分が落ち込むなど、いわゆる「妊活うつ」の状態になるのは、ある程度は仕方がないことだと思います。

ストレスと不妊との関係

強いストレスがあると、卵子を育て、排卵を起こす脳からのホルモン分泌に影響が出ることはよく知られています。

卵胞ホルモンや黄体ホルモンのバランスが乱れれば、排卵障害や着床障害の原因となります。
女性だけでなく、男性も、ストレスによって、テストステロンという男性ホルモンの分泌が低下し、精子の数や運動率の悪化につながります。

私は多くの患者さんを診ていますが、不安感が強くて神経質なかたは、妊娠率が若干下がるのでは、という印象をもっています。

不妊治療に疲れたときの心と体のケア方法

不妊であること、そのこと自体がストレスの原因なので、それを解消することは容易ではありません。しかし、常に妊活のことが頭にあり、生活すべてがそのためにあるような状況では、ますますストレスがたまります。

心の負担を軽減するメンタルケア

妊娠に関わる不安は、正しい知識を得ることで、やわらげることができるでしょう。

治療についての悩みや疑問があれば、遠慮しないで医師や看護師などの医療スタッフに相談しましょう。妊娠の可能性を高めるために用いる飲み薬や注射なども、なんのためにそれらを使うのか、副作用が出たらどうするかなど、しっかり理解しておきましょう。
個々の患者さんにより、ベターな薬の種類や量は異なります。
もし体調がすぐれないというときは、黙って我慢していないで、医師に相談することもたいせつです。

また、治療の進み具合や、これからすべきことなどは、必ずパートナーと共有し、すれ違うことがないように、お互いの気持ちを確認し合い、納得したうえでトライしてください。

そのほか、口うるさい親戚や、妊娠中だったり、小さい子どものいる友人知人など、つきあうことが気持ちのうえで重荷になる相手は、思い切っていったんつきあいをストップして、周囲の雑音から距離を置くことも、ひとつの手です。

カミングアウトは慎重に

不妊や不妊治療に関する世間一般の理解は、以前にくらべれば広がってきていますが、具体的な治療内容などは、まだまだ気軽に話せる状況にはありません。私自身は治療経験をカミングアウトすることは、必ずしもストレスの軽減にはつながらないと思っており、積極的にはおすすめしていません。

もちろん、同じ不妊治療を経験している友人など、悩みや不安を吐き出して受け止めてもらえる信頼関係があれば、気持ちの安定にプラスになることもあるので、一概には言えないと思っています。

なお、不妊治療で通院している場合、特に体外受精などの高度治療の段階では、こまやかなスケジュール調整が必要になってきます。仕事と治療をできるだけスムーズに両立するために、直属の上司などには、治療を受けていることは隠さず、話しておきましょう。
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治療を続けるためのモチベーションと心構え

「今月こそは」と期待しても、月経がやってきて、「また、だめだった」と失望する日々のくりかえしに、どうしてよいかわからなくなってしまうことは、多くの患者さんが経験しています。

いったん治療を休むことも考えてみよう

私は外来で、患者さんの表情をよく観察するようにしています。そして患者さんの表情が固くて、目に力がなくなったと感じるときには、「いったん治療をお休みしてみては」とアドバイスすることがあります。

休む期間をこちらから提示することはなく、患者さんが治療を再開しようと思ったときでいいと説明します。
また、治療を再開するかどうか迷うときも、いつでもどんなことでも相談に来てくださいね、とお話ししています。

治療をお休みしている間は、食事や睡眠、生活リズムを見直して、健康的な体のリズムを取り戻せるといいですね。

趣味、軽めの運動、旅行などがおすすめ

いつも妊娠が頭にあるような状態では、自分がどんどん追い詰められていきます。

食事にしても、妊活のための栄養ばかりにこだわらず、自分が美味しいと思える料理を食べましょう。
ときには外食で気分を変えるのも有効です。

ヨガやストレッチなどで体を動かすことは、心身の代謝をよくし、ホルモンバランスを整えるのに役立ちます。またウォーキングなどで外に出ることは、それだけでよい気分転換になるでしょう。ぜひご夫婦いっしょにとりくんでみてください。運動だけでなく、音楽や映画鑑賞、読書などなど、自分たちが楽しいと感じられる趣味で時間を過ごしましょう。

旅行も、心が解放されることは多いものです。いつもと違う体験をすることで、妊活や出産育児など、これからの2人の生活について、新しい視点を得るきっかけにもなるかもしれません。

治療法の見直しと選択肢

妊娠という結果が出ないときに、どこまで、どんな治療をするのか、医師からの提案に対して、常に夫婦で話し合って決めていくことが必要です。

タイミング法でうまくいかないとき

一般的な不妊治療では、タイミング法の次のステップは人工授精ですが、必ず人工授精を受けなくてはいけないという決まりはありません。

人工授精はマスターベーションで得られた精子を子宮に注入する方法で、体への負担は少なく、精子の数や運動率に問題があるときや、うまくセックスができないカップルなどには向いています。しかし、体外受精とくらべると、実は妊娠率はそれほど高くありません。

年齢や自然妊娠へのこだわり、経済的な状況など、それぞれのご夫婦により、選ぶべき治療はさまざまなので、医師とよく相談して決めていきましょう。

検査で異常がなくても妊娠しない「機能性不妊」

基本検査で「特に異常がありません」と言われると、「よかった、それなら妊娠できる」と思うのがふつうでしょう。ところが、異常が見つからないにもかかわらず、何度タイミング法にトライしても、妊娠しないケースがあり、これを「機能性不妊」、あるいは「原因不明不妊」といいます。約10%のカップルに見られ、具体的な治療法が見えずに悩む人も多いでしょう。

「原因不明」とは、原因がないのではなく、原因がわからないということです。確かに、検査では異常がなく、「性交と排卵のタイミングが合わないだけ」カップルもいます。この場合は、タイミングが合わないことが原因になり、病院でのタイミング指導で、解決できるはずです。
実は現在の医療では検査方法がなく、診断できない異常があります。「卵子のピックアップ障害」です。

排卵によって、卵巣から飛び出した卵子は、ラッパ状の卵管采にとりこまれて卵管の中に入っていきますが、なんらかのトラブルによって、卵子がピックアップされないことがあり、むずかしい不妊症の約半数はこの障害によると考えられています。

また、卵子と精子が互いに出会っていても、精子が卵子の中にうまく入っていけない「受精障害」があります。 受精障害は、卵子や精子の未成熟などが要因と考えられていますが、一般的な検査ではわかりません。

このように、体外受精を行うことで初めて判明する異常もあるので、タイミング法や人工授精などを行っても妊娠が成立しないケースでは、一般治療に時間を費やしてしまうよりも、早めに体外受精などの高度医療にステップアップすることが、妊娠への近道となることが少なくありません。

木場公園クリニックの不妊治療

不妊治療はご夫婦2人でとりくむものですが、妊娠をサポートするクリニックの存在も重要です。
たとえ治療が長引いても、患者さんとクリニック側でしっかりとコミュニケーションがとれていれば、また前向きに治療を進めることができるでしょう。

心理カウンセリングを実施

木場公園クリニックでは、初診の患者さんは、どなたでも20分無料のカウンセリングを受けることができ、その後もご希望に応じて、いつでも心理カウンセリングを受けられるようにしています。

カウンセリングは、心理専門の資格(公認心理師、臨床心理士)と生殖医療の知識を持つカウンセラーが担当しており、外来とは離れた個室で、落ち着いた雰囲気の中で行われるので、リラックスしてお話しいただけます。

基本的に患者さんの秘密は厳守されますが、ご本人のご要望によっては、カウンセラーと医師、看護師との連携も行います。院内でのサポートグループはありませんが、必要に応じて連携を持つ外部のグループをご紹介することができます。

治療後の後悔を減らすために

こうした心理カウンセリングは、直接妊娠に結びつけるためのものというよりも、患者さんのストレスや不安軽減などのメンタルケアが主な目的です。

当院のカウンセリングは、クリニックでの治療をより納得したものにし、うまくいかなかったときの後悔を少しでも減らすためのサポート手段のひとつです。

たとえば「話せたことで不安が減った」「悩みを聞いてもらえたので、自分で決断できそう」など、孤独感を抱えている患者さんが、カウンセリングで話をすることで、「悩んでいるのは自分だけではない」と感じ、精神的負担の軽減を実感していただけることは、前向きに治療に向かう大きな手助けになると考えています。

このように、常に患者さんに寄り添って、クリニックの力を最大限に出して、妊娠という目標が実現するようつとめることが、木場公園クリニックの不妊治療の最大の特長と思っています。
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受付・診療時間

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(土曜は14:30-16:00)
6FART診のみ火曜・木曜
18時30分まで診察

吉田 関本 巷岡 西川 杉山 吉田 関本 巷岡 西川 巷岡 西川 吉田 関本 巷岡 西川 米澤 関本 西川 吉田 関本 杉山 岩原 松浦

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木場公園クリニックの特徴

木場公園クリニックは体外受精・顕微授精に特化したクリニックです。
少しでも安心して不妊治療を受けていただけるよう、
様々なトータルソリューションをご提案・ご提供いたします。

海外・国内の学会参加による
世界レベルの最先端の治療を追及

開院以来20年にわたり診療で蓄積された診療経験や検査・治療の結果、症例をもとに、
より良い不妊治療の成果を出すために、日々行っている研究や検討を紹介しています。

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着床前胚染色体異数性検査
(PGT-A)

東京の木場公園クリニックは、日本産科婦人科学会から、「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」の研究分担施設として承認を受けています。

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胎児精密超音波検査について

胎児精密超音波検査では胎児の形態異常や構造異常の評価、胎盤臍帯の評価を超音波を使って詳細に行います。
これまで胎児の一般的な超音波スクリーニング検査は妊娠20週前後で評価するのがbestと考えられてきましたが、超音波診断装置の技術の向上と診断技術の改良により妊娠の早い段階で胎児の構造を観察することが可能となりました。

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卵巣刺激
(高刺激・中刺激・低刺激・自然周期)

女性の実年齢と卵巣年齢がイコールではないため、それぞれの方の卵巣の状況に応じて刺激法を選んでいます。
当院では高刺激の患者様と低刺激の患者様の割合は半々です。
高刺激と低刺激のどちらがいいのかではなく、体外受精や顕微授精を行う施設として重要なことはいろいろな卵巣刺激法を選択肢として持っていることです。

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