採卵 | 木場公園クリニック 

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不妊治療成功のポイント
採卵
採卵とは、排卵誘発剤で卵子を育て成熟させて、排卵する直前に体外に取り出す方法です。卵子は排卵してしまうと、体外から取り出すことはできません。
卵巣刺激でよい卵が数多く育っても、雑に取り出そうとすると、デリケートな卵は変形したり、また卵巣内に取り残す可能性もあります。これでは何の意味もありません。採卵では、卵を良好な状態で回収することがポイントになります。
膣から超音波の器械(プローブ)を挿入して、超音波像を見ながら卵巣の中の卵胞(卵の入った袋)に針を刺して卵胞液を吸い出します。 針は採卵針という採卵専用のものです。 卵子はとても小さく超音波では見えません。吸い出した卵胞液を顕微鏡でチェックして、卵子を探します。
採卵の時間は、卵胞の数や卵巣の位置によっても変わりますが、だいたい10分くらいです。麻酔をしますし、腹腔内に出血するなどのリスクもありますので、手術の扱いになります。通常お昼前後には自宅に戻る準備ができます。
では、具体的にどのような手順で、どのような方法で採卵を行なっているのかを説明します。

 
採卵の手順
1.採卵日の決定
採卵は、卵をいかに良好な状態で数多く回収できるかが重要です。経膣超音波と毎日のホルモン値測定で、卵の成熟具合をチェックし、採卵日を決定します。
木場公園クリニックでは、ロング法の場合は平均卵胞径が18mm以上の卵胞が2個以上できた時点、セトロタイド法の場合は主席卵胞の平均径が20mmになったらhCGに切り替えています。
2.IVFコーディネーターとの話
採卵日が決まるとIVFコーディネーターから、スプレキュアやアンタゴニストの終了日時、hCG注射と抗生物質の皮内テストの日時、採卵前日の坐薬の使い方や禁飲食について、また、採卵日の来院時間、採卵時の麻酔方法についてなどの説明をしています。患者様のほうからも採卵日や胚移植日が具体的になったことで、採卵や採卵後の痛みについて、採精後の御主人の仕事について、採卵後や胚移植後の奥様の仕事についてなどの質問があります。
3.hCGの注射
hCGとは、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのことで脳の下垂体から分泌されるホルモンです。投与によって、人為的にLHサージを起こし、排卵を促します。hCGの筋肉注射後、約38時間後に排卵するといわれていますので、「卵が排卵する直前の成熟した状態であり、かつ、勝手に排卵してしまう前に採卵できる」ように木場公園クリニックでは採卵予定時間から逆算して、採卵日の2日前の21時に注射をしています。つまり、注射をした翌々日の朝7~9時に採卵をすることになります。
PCOS(多嚢胞性卵巣)などでOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる可能性が強いことから、スプレキュアの使用を避け、セトロタイド法を選択した場合は、hCGの代わりにスプレキュアを0.3mg使用してLHサージをおこすこともあります。
4.採卵がキャンセルになる場合
採卵に向けて誘発剤の注射を頑張っていたのに、急に採卵のキャンセルが決まった・・・ということが、ごくまれにあります。卵巣刺激期間中にP(プロゲステロン=黄体ホルモン)の上昇があった時、(エストロゲン=卵胞ホルモン)が著明に低下した時、また、hCG投与翌日のPの上昇がない時、卵巣機能・反応が明らかに悪い時です。このような状態で採卵をしてもよい結果は得られないことがわかっていますので、次によい周期をつかまえられるよう無理やり採卵はしません。
木場公園クリニックでは、hMG注射を始めて4日目以降は採卵当日まで毎日採血をしてホルモン値を測定しています。毎日採血して、その結果を表とグラフにしていくことで、
1. ホルモン値から、hMGの種類や量の変更をすぐに行なうことができる
2. 卵胞の成熟状態を細かくみて採卵に最良の日を知ることができる
3. 採卵をキャンセルすべきかどうかを判断する
4. 今回のARTで妊娠しなかった場合、次回誘発時に今回の誘発方法をよく検討してよりよい誘発にする
などのメリットがあるからです。
5.採卵前日に自宅で行なうこと
禁飲食
21時以降は食べたり飲んだりしないようにお願いしています。飲食ができるのは採卵後の状態をみてからになります。
下剤
21時30分に下剤の坐薬(レシカルボン)を2個肛門に入れていただきます。挿入の刺激ですぐ便意をもよおすこともありますが、坐薬だけ出てきてしまいますので、できるだけ10~15分くらい我慢してから排便するよう説明をしています。
 
木場公園クリニックでの採卵の流れ
1.来院
採卵当日の朝、前日に電話で確認した時間に直接3F(体外受精・顕微授精の専用フロアー)に来院してもらいます。
2.受付
御夫婦の診察券を提出します。
3.御主人様採精
来院順にご案内します。
※精液の所見にもよりますが、基本的には採精後は仕事に行ってかまいません。しかし、精液の所見は毎回変わりますので、再度採精が必要だったり、奥様の体調をお知らせしたいこともあります。そのため、必ず連絡がとれ、いつでもクリニックに戻れる状態にしてもらいます。
4.奥様採血
採卵(排卵)直前のホルモン値の確認のためです。
5.奥様着替え
採卵順とベッド・トイレの場所確認をして、更衣室で術衣に着替えていただきます。
下着は上下とも外し、術衣のみ着用します。ブラジャーは、心電図測定のシール(電極)を胸に貼るときジャマになるため外していただきます。
靴下は履いたままでもかまいません。靴はスリッパに履き替えます。
化粧(特に口紅)は落とします。採卵中の顔色確認のためです。
局所麻酔の場合は、メガネ・コンタクトレンズはつけたままでもかまいません。静脈麻酔の場合、コンタクトレンズははずします。メガネは採卵室に入る直前には外し、ベッドサイドに置きます。
着替え終わったら、身長と体重を測定した後、ショーツ・ナプキン・ロッカーの鍵をベッドサイドに置き、ベッドに横になって順番を待ちます。ショーツは、採卵後看護師が患者様につけますので、あらかじめナプキンをセットしておきます。貴重品・携帯電話はベッドサイドに持ち込まず、必ずロッカーに入れて鍵をかけておきます。
血管確保のために、点滴を始めます。静脈麻酔の場合は、採卵室入室後にそのラインから麻酔薬を入れます。
看護師に申し出てほしいこと
木場公園クリニックより処方された継続的な薬(紫苓湯・テルロン・パーロデルなど)を内服中のかた・・・採卵日の処方が必要かチェックします。
木場公園クリニックで以前採卵していて、自宅に痛み止めの坐薬(ボルタレン)が余っているかた・・・必要以上の処方はしません。
6.奥様排尿
採卵の順番がきたら、膀胱におしっこが1滴も残らないくらい絞り出すように排尿してもらいます。おしっこがたまっていると、膣からの超音波の場合は見づらいため、スムーズな採卵ができないからです。
7.奥様入室
ご本人確認をして、採卵室へ入ります。 採卵は麻酔を使う手術ですので、ご家族のかたは入室できません。
1.ナプキンをセットしたショーツをかごに入れます。
2.内診台に上がると、おしりの下にカバーをします。
3.両脚は足袋でカバーし、足が落ちないようにベルトで固定します。
4.心電図・血圧計・血液中の酸素濃度をチェックする器械(モニター)をつけます。
5.再度、本人確認のため、エンブリオロジスト(培養士)と医師の前で 氏名・生年月日・住所・電話番号と御主人の氏名・生年月日を言ってもらいます。
採卵は患者様の緊張も高くなります。できるだけ緊張感をやわらげるように静かな音楽を流しています。
また、卵にできるだけストレスを与えないように採卵室の室温の調節(ラボ内との温度差にも注意しています)や明かりの調節(蛍光灯の光は卵に良くない)をしています。採卵室は培養室とつながっていますので、ほこりや有害物質の除去ができるように特殊なフィルターつきのエアコンを使っています。
8.膣の洗浄
外陰部と膣内を洗います。温かい生理食塩水を流しながら、太い綿棒でごしごしと洗います。感染の原因にならないようにしっかり洗いますので、痛みが少しあります。消毒薬は小さな菌も殺すわけですから、万が一、膣内に消毒液が残ってしまい、それが卵にふれた時のことを考えると消毒薬は使うべきではないという考えのもと、木場公園クリニックでは消毒は行っていません。
9.麻酔
採卵時は麻酔をします。主に局所麻酔で行ないます。採卵針の通り道となる膣壁に右・左と麻酔薬を注入します。歯医者での麻酔のように、チクッとする感じがあります。
患者様の希望や、卵巣までの距離が深い、卵胞数が非常に多い、重度の子宮内膜症がある、採卵に対する恐怖心が極端に強いなどの状態によっては静脈麻酔で行なうこともあります。静脈麻酔の場合は、ボーっとする麻酔薬を点滴のラインから注入します。
10.採卵
卵子の回収は、採卵数だけではなく、卵子にいかにストレスを与えずに良好な状態で採れるかが大切です。卵子の回収率が悪くてもいけませんし、多く回収できても卵が変形していては意味がありません。木場公園クリニックで注意していることやポイントを含めて説明していきます。

1.経膣超音波のプローブ(外来で使用するものと同じ)に採卵針を通すためのアタッチメント(外筒の役割)を取り付け、膣内にプローブを挿入し、卵巣の位置、左右の卵胞数、子宮の位置を確認します。そのときに血管の位置、卵巣嚢腫の有無、卵管留水腫の有無も確認します。
木場公園クリニックでは左右の卵巣を比べて、卵胞数が多くて穿刺しやすい側から採卵します。また、チョコレート嚢腫などの卵巣嚢腫がある場合には、卵巣嚢腫がない側から採卵を行ないます。

2.膣壁の小さい血管を刺さないように超音波で確認しながら、なるべく1回の穿刺で片側の卵巣の卵子がすべて回収できるように考えて採卵針を刺すポイントを決めています。
超音波で見える卵巣は平面ですが、実際は立体ですので、常に採卵針が卵巣のどこにあるかを立体的にイメージしています。
アタッチメントに採卵針を通して、いよいよ採卵を行ないます。採卵針を刺す時は医師から「刺しますよ」と声がかかりますので、決して体(おしり)を動かさないようにしてもらいます。

3.針は血管のすぐ近くを通ることもあるので、動くことはとても危険です。卵胞液の吸引方法には、採卵針に注射器を接続して人の手で引く手動式と、圧力を設定した機械で引くポンプ式(→写真参照)があります。卵胞液の吸引ポンプ どちらの場合にも吸引圧に気をつけなければいけません。 ポンプは急に圧がかからず微妙な圧の調整ができますが、手動では同じ圧力で引いていてもシリンジの大きさで卵子にかかる圧は変化しますので、シリンジの大きさやメーカーにも考慮が必要です。
手動式は引き手によって圧力が変化するため、現在木場公園クリニックではポンプ式で行なっています。しかし、機械はいつ不具合がおこるかわかりませんので、バックアップのポンプを用意しています。
また、採卵針の太さは細いほど体への負担は少ないのですが、卵は狭いところを通ってくるため、より高い圧で吸引することになり、卵が変形したり顆粒膜細胞がはがれたり、ひどいときには透明体や卵細胞質が破損してしまう可能性もあります。
逆に、卵の変形を恐れるあまり、非常に低い圧で吸引すると卵の回収率が悪くなります。
卵を良好な状態で数多く回収するには、採卵針の太さや種類の選別とその状態に応じた吸引圧の設定が大切だと思います。
そして、すべてのスタッフが「卵は赤ちゃんである」という意識で細心の注意をはらい、やさしく慎重に取り扱うことです。

4.また、フラッシュ*をする場合としない場合があります。
木場公園クリニックでは、卵の回収率はフラッシュをしてもほとんど変わりがなかったため、原則的にフラッシュをしていません。
卵胞液の吸引中は常に採卵針が卵胞の中央になるように、採卵針と経膣超音波のプローブで位置を調節し、スピッツの交換は卵胞液がある程度残っているところで行ない、次の卵胞に移る時は陰圧をかけたままにすることで卵子の回収率がアップします。
*フラッシュとは、卵胞液の吸引後に培養液を注入して、その液を再び吸引する作業の事です。

5.採卵針と採卵用のガイド(超音波のプローブに取り付けて、採卵針を通すもの)の穴の太さがジャストフィットしていると、遊びが少なく採卵しづらいため、木場公園クリニックでは、16Gという太さの採卵用のガイドに18Gという太さの採卵針を組み合わせて採卵しています。

6.補助の看護師が足元で「○個です。」と言っていますが、これは吸った卵胞(刺した卵胞)の数です。採れた卵子の数がわかるのは、顕微鏡で確認後になります。

11.出血の確認
卵胞液を左右とも全て吸い出したら、採卵針の通り道からの出血の状態をみます。少量の場合は、ガーゼを3枚つなげたものを膣に入れて圧迫をします。出血量が多い時はペアンという器械で出血部位をはさんで止血をします。それでも出血が続く場合には出血部位を縫います。
12.卵子数の中間報告
刺した卵胞の数によっても異なりますが、この時点で何個卵が採れたのかを聞きます。最終報告は帰宅直前です
13.採卵終了
看護師がモニターや足袋をはずして、おしりなどを拭き、ショーツをつけます。
14.安静室へ移動
局所麻酔の場合は、自分で内診台から降り、歩いてベッドに戻ります。 ただし、痛みが強い場合や静脈麻酔の場合はストレッチャー(移動用のベッド)で安静室に戻ります。 安静時間は、局所麻酔の場合は最低1時間・静脈麻酔の場合は最低2時間です。もちろん、麻酔の効き具合や気分不良・痛みの具合によって違います。
15.抗生物質の点滴
採卵部位からの感染を予防するために行います。 採卵前から行なっている点滴液の中に抗生物質を注入します。
16.採血
採卵日2度目の採血です。この採血では、主に貧血症状の確認をしています。
17今後の説明
採卵後の生活や胚移植についてなど、看護師から話があります。
→着替え
18.会計・次回の予約
採卵当日の薬代などは、採卵前に振込みいただく採卵費用に含まれていませんので、採卵当日も会計があります。
19.ガーゼを抜く
内診室にて医師が膣に入れていたガーゼを抜き取ります。そして、出血が止まっているかを確認します。
20.医師との話
本日とれた卵子の数や精子の所見について、医師から説明があります。
21.帰宅
採卵した卵
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22.体調の確認
夕方もしくは夜間、電話で連絡をとります。
 
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