精巣組織検査(精巣生検) | 木場公園クリニック 

不妊治療・不妊症・男性不妊・体外受精・顕微授精など高度生殖医療

HOME男性不妊について精巣組織検査(精巣生検)


男性不妊について
精巣組織検査(精巣生検)
男性不妊症の外来を訪れる患者様の約2割の方は、精液中に精子が1個も認められない無精子症です。さらに無精子症は、精子の通り道が障害されている閉塞性無精子症(約2割)と、精巣(睾丸)そのものにダメージがある非閉塞性無精子症(約8割)に分類されます。

精液検査で無精子症と診断されると、次に行う検査が精巣組織検査です。つまり川の下流に水が流れてこないので、ダムには水がいっぱいたまっているかどうかを調べる検査といえます。

しかしこの検査は現在、過渡期にあり、精巣の中に精子がいるかどうかについてのみの目的で行うのは、将来的には閉塞性無精子症(精子の通り道が障害されている)が強く疑われる場合のみになると思われます。

【方法】

まず最初に精管の周りに走っている神経をブロックするように麻酔し、次に実際に切る陰嚢の皮膚の上に麻酔をします。陰嚢にメスで約0.5cmの切開を加えて、精巣の実質を出して、はさみで精巣組織をごくわずか採取します。

採取した精巣組織は精子培養液と固定液(ブアン液)の中に分けて入れます。固定液の中に入れた組織の結果はすぐに出ませんが、精子培養液の中に入れた組織はすぐにはさみで細かく切り、2枚のスライドガラスを用いてすりつぶした後、顕微鏡で精子が存在するかを確認します。

精子がいれば精巣生検はその場で終わりとなり、糸で縫合して終了しますが、いないと片側の精巣で3ヶ所、反対側の精巣で3ヵ所をするときもあります。(multiple biopsy)

閉塞性無精子症では当然、全例で精子が見つかりますが、非閉塞性無精子症でも精子が見つかる確率は、約4割です。つまり、精液の中には精子が全くいないのに、精巣(睾丸)の中にごく少数の精子が見つかる場合もあるのです。

一方、固定液の中に入れた組織は、ヘマトキシリン-エオジン染色と呼ばれる方法を用いて、顕微鏡で精細管をすべて観察し、精巣組織を評価します。

精巣の組織検査をしたあとは、感染予防の目的で抗生物質の薬を1週間内服していただきます。また、痛み止めの坐薬を持って帰っていただき、痛みが強い時は坐薬を使用していただきます。入浴は1週間後に抜糸をするまで禁止です。(シャワーは翌日から可。)

閉塞性無精子症は、精巣のどの部分でも均等に精子をつくっています。しかし、非閉塞性無精子症では、精巣のある部分では精子を作っていますが、別のある部分では精子を全く作っていないというように、精子を作っている場所が不均等な方がほとんどです。
これまでお話してきた方法(multiple biopsy)では、どこで精子を作っているのかがわからなかったために、精子を作っている部分を探すためには、何箇所も精巣の組織を採取する必要がありました。

精細管の太さは、精子を作っている精細管では太く、精子を作っていないセルトリ細胞のみの精細管や精細胞もない精細管内が詰まった精細管では細くなっています。

この性質を利用して、精子を作っている太い精細管を探すために、最近では顕微鏡を使用するようになりました。顕微鏡を使用する方法(micro dissection)を実施すると、従来の方法(multiple biopsy)よりも、精子を発見できる確率が高くなりました。